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ロモソルーンには秘密がある

◆◆◆◆◆9

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そう、性行経験が多いのは男の自慢だと思っているのだ。
だから相手にした数や回数を聞く事に躊躇がない。
そこが悪かった。
何せ相手は複雑な過去を持つシェルなのだ。
「それで、シェル君は何人と寝たの?」
グエンが酔った顔をさらにシェルに寄せて来る。
『のみなさい。気持ち良くなる』
思い出したのはアノ時無理矢理飲まされた媚薬の青臭く甘い味。
「何を言ってるのですか、グエンさんこんな所で」
「またまたそんなぁ・・・シェル君てばとぼけちゃって。経験豊富なんでしょう?」
騎士見習いの青年がフォークで大降りの腸詰めを転がすのが嫌に目について吐き気がする。
「僕はそんな・・・」
もうシェルの顔色は真っ青だ。
ルメラは頭を抱えて一気にグエンの持ってきた果実酒を飲み干した。
グエンがニヤリと笑って言葉を続けた。
「だって君、性「はーい!皆さん今晩はー!」」
グエンの言葉を遮ってルメラがエール二杯を片手に持ってイスの上に立ちあがり、ダンッっと片足をテーブルに乗せた。
くーっとエールを一杯イッキ飲みする。
「ぶはぁ!うっまーい!、はい今晩は!皆さんご存知の町医者兼ドラゴンのウォルターの妻、ルメラでっす。」
客達も店員達も何事かと集まり出す。
「やだ、ルメラ様ってばいつの間にかチャンポン(色々な酒を一度の酒の席で飲むこと)しちゃってる。!」
世話係のヤヤが焦り出す。
他の二人もぎょっとした。
「不味いじゃない、じゃぁアレ本当の酔っぱらい?」
ルメラは基本酒に強いが色々な酒を飲み過ぎると酔っぱらう時が有るのだ。
慌てる三人を気にもしないでルメラが羽織っていたシャツの首もとを摘まんでピラリと広げた。
「普段皆様のぉ~お体を拝見させて頂いてるお礼にぃ」
「ルメラ様!」
「止めて下さい!危ないですよ!」
世話係達の制止を気にもしないでルメラはプチプチとボタンを外し始める。
「ダメだわ完全に酔っぱらってらっしゃる、この上は羽交い締めにして帰るわよ!シェル君ロモソルーン様にルメラ様を運んで貰えるかしら」
「え?あ、はい大丈夫です。元々そのつもりでしたし。」
いっちばん一番ルメラ、脱ぎまー「ルメラ様ダメェェェェェ!ウォルター様に殺されるゥゥ!(私達がぁ!)」」
世話係三人は必死の形相でルメラを羽交い締めにして店の外に引きずり出した。
後に残されたのはポカンとした顔の男性メンバー三人。
こうして何だかよく分からない内にその日はお開きになってしまった。 
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