闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

ロモソルーンには秘密がある

◆◆◆◆２

世話係達のいる所に足を向けようとしたシェルをメリルが呼び止める。
「それにしても・・・シェル君相変わらず華奢ねぇ・・・ちゃんと食べてる？」
ルメラが発育不全の子供を見るような目付きでシェルを目診する。
「ここの人達は体躯が良いんですよ。僕の国では心配される程じゃないです」
本当の事だ、環境のせいか、遺伝子のなせる技なのかトホスマ・スダの国民は他国の民と比較すると相当大きくがっしりしている。シェルは母国でも小柄な方だが本来成長を悲観される程ではない。
「興味深いわ・・・ちょっと触診して良いかしら？」
「はぁ・・・・」
ルメラは腕は良いと評判の医者ではあるが仕事バカで非常に研究熱心・・・・・・・な事でも有名な女性ひとだった。
「ふんふん、背骨の数は一緒ねぇ一つ一つの作りが私たちに比べて全体的に小さいみたい、でも肌のキメは細かいスベスベじゃない・・・羨ましいわぁ。あら・・って事は栄養失調の心配はな無いわね。良かった。」
何やらあちこちムニムニとさわったり骨の継ぎ目箇所を確かめたりノートに書き留めたりしてブツブツいっている。
仕方の無いヤツだなと呟いて
ウォルターが代わりに謝った。
「すまないね。コレは医療の研究となると他が見えなくなる質のものでね。」
「イエ。普段お世話になっていますからコレくらい。」
「そういえば、ロモソルーンは相変わらず喋らんのかね。」
「はい。まだ全然喋れません。体は大きいですが、まだ孵って５年ですし」
「体格は良いのだがなぁ」
「朝から晩までルァルァ鳴きながら僕について回るのなんて孵化した時から全然かわらな・・「ゴぶふぅーーーっっ」？」
言い終わらない内に横で一息いれてお茶を口に含んだルメラがをのまま勢い良く茶を吹いた。
「お前、また勢い良く吹いたな。大事無いか？」
伴侶のウォルターが呆れながらも尻尾でルメラの背中をトントンと叩く。