闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

ロモソルーンには秘密がある

◆◆３

角の方では最近魔石作りに参加し始めたばかりの新参のドラゴンの雛がガタガタ震えながら泣きそうになっており、それを年長の者がなだめている。
討伐対を引退した年配ドラゴン達は呆れながら遠巻きにしつつロモソルーンをたしなめていた。
『ロモソルーン、そんな八つ当たり全開で魔石作ったってお前の大事なシェル坊の魔法が上手く入る良い魔石はできんぞー』
『惚れた者が見てない所でもちったぁ格好つけんかねー』
そのちょっと前をロモソルーンの怒りのドラゴンブレスが
ゴアァッ
っと噴射されていった。
聞こえているのかいないのか、仲間を背にロモソルーンは怒りに任せてガリガリ岩や土壁を噛み砕いて腹の中で溶かしては魔石を作り出してゴロゴロ作っていく。
ロモソルーンと同年代のドラゴンのファーファナルは呆れながらも面白がって眺めていた。
その背後から後から来た同い年のドラゴンのベルマが声をかける。
『ほんと見せられんなあんな姿シェルには』
『よう、ベルマ今日は珍しくゆっくりだね』
ベルマは人間が肩をすくめる真似をして羽をキュッと背中で合わせた。
それを尻目に年寄りドラゴン達が
ロモソルーンが作りっぱなしで地面に転がしている魔石をロモソルーンからちょっと離れて後に続きながら拾っては出来の良さを確認して仕分けてる。
『あ。コレ以外と良い出来だ』
『魔石作りは勢いも大事なんじゃのう』
拾ってやった事を恩に着せて後で分け前を貰おうとか言っている。
いつもの冗談だ。
恩に着せなくても魔石の広い集めは鉱洞内の立派な仕事として分け前の量は決まっているのだ。