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竜騎士(ドラゴンナイト)
◆◆◆2
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「おや?入って良いのかい?お二人の愛の巣に」
「愛の巣?」
何を言っているのだろう?
「何を言っているのか分かりませんが、お急ぎだからこんな朝早くにご来訪されて来たのでしょう?ロモソルーンには人が来たら客室までなら通して良いと確認してます。」
「緊急?いいや?」
「お急ぎでは無いので?」
じゃぁ何でこんな早朝に来たのだ。
ロモソルーンの世話係はシェル一人しかいない、洗濯も掃除も生活に必要な物資の仕入れもなにもかもシェルが一手に行っているのだ。
ロモソルーンもその事は分かっていて、だからこそ普通ドラゴンが世話係にさせて行わない様な雑務も率先しておこなってくれているのだろう。
シェルが風邪で寝込んだ時なんか医者のルメラを呼んできてさえくれさえした。
そんな人手の足りていない所に緊急の用事でも無いのにこんな早朝に来るなんて・・・どんな大事な用事なのだ。
心の中では訝しみながらもドラゴンと共に国を守る竜騎士とイザとなったら替えのきく世話係では身分が違う、しかも相手はグエンだ。
シェルは失礼の無い態度を通す事にした。
「ただ今ロモソルーンに知らせて来ますので、時間が時間なのでお会いになれるかどうかは分かりませんが」
ロモソルーンは悪戯っ子だが意地悪な性格ではない、人好きのする性格だし今まで来客が来て無下な態度をとった事など一度も無いのでたぶん大丈夫だとは思うが魔力接種のお楽しみの時間を邪魔されたとなってはちょっと不機嫌かもしれない、少し位脅しておいた方が良いだろうと判断してシェルは会えないかもねとグエンを脅かしておいた。
ドラゴンの竜舎にこんな朝早く人間が訪問だなんてあまりにも不躾だ。
「いや、その必要は無いよ」
「え?」
「俺は、シェル、君に用があって来ただけだからね」
ロモソルーンを呼びに行こうと踵を返しかけたシェルをグエンは引き留め、覆い被さる様にさらに体を近づけた。
シェルの背中に緊張で 力がこもる。
グエンの声は小さくないのに何でこんなに不必要にからだを近づけるのだ。
離れてほしい。
「俺は今日君に用が有って来たからね、ロモソルーン様は関係無いよ」
魔力摂取の時間を邪魔されたロモソルーンはそうは思っていないだろう。
「何度か午後に訪問したのだが留守だったものでね、こんな朝早くに来たんだよ」
あぁ、とシェルは思いあたる。
今は谷の夏。
トホスマ・スダの夏は短い。
逆に冬は長く、夏の今は晩秋から始まる長い作物の採れない季節を生き残る為の保存食の作成やその材料、燃料や魔石の採掘や作成などで大忙しなのだ。
それはロモソルーン達も例外ではなく、ここの所お昼前後で竜舎を空けて二人で仕入れに出かけていた。
でも、だったら置き手紙でも置いておいてくれれば良いのに・・・・。
「君は・・・ロモソルーン様に敬称を着けないで呼ぶのだね」
気持ち悪い溜めを含ませながらグエンが無遠慮にシェルの黒髪を一房指に絡ませながら咎める様に問う。
その、こちらの意思を確かめずに人のパーソナルスペースに押し入ってくる挙動に不快感だけが募った。
そういえば、ダコタも最初ギースの髪を妙にいじりたがったっけ。
「愛の巣?」
何を言っているのだろう?
「何を言っているのか分かりませんが、お急ぎだからこんな朝早くにご来訪されて来たのでしょう?ロモソルーンには人が来たら客室までなら通して良いと確認してます。」
「緊急?いいや?」
「お急ぎでは無いので?」
じゃぁ何でこんな早朝に来たのだ。
ロモソルーンの世話係はシェル一人しかいない、洗濯も掃除も生活に必要な物資の仕入れもなにもかもシェルが一手に行っているのだ。
ロモソルーンもその事は分かっていて、だからこそ普通ドラゴンが世話係にさせて行わない様な雑務も率先しておこなってくれているのだろう。
シェルが風邪で寝込んだ時なんか医者のルメラを呼んできてさえくれさえした。
そんな人手の足りていない所に緊急の用事でも無いのにこんな早朝に来るなんて・・・どんな大事な用事なのだ。
心の中では訝しみながらもドラゴンと共に国を守る竜騎士とイザとなったら替えのきく世話係では身分が違う、しかも相手はグエンだ。
シェルは失礼の無い態度を通す事にした。
「ただ今ロモソルーンに知らせて来ますので、時間が時間なのでお会いになれるかどうかは分かりませんが」
ロモソルーンは悪戯っ子だが意地悪な性格ではない、人好きのする性格だし今まで来客が来て無下な態度をとった事など一度も無いのでたぶん大丈夫だとは思うが魔力接種のお楽しみの時間を邪魔されたとなってはちょっと不機嫌かもしれない、少し位脅しておいた方が良いだろうと判断してシェルは会えないかもねとグエンを脅かしておいた。
ドラゴンの竜舎にこんな朝早く人間が訪問だなんてあまりにも不躾だ。
「いや、その必要は無いよ」
「え?」
「俺は、シェル、君に用があって来ただけだからね」
ロモソルーンを呼びに行こうと踵を返しかけたシェルをグエンは引き留め、覆い被さる様にさらに体を近づけた。
シェルの背中に緊張で 力がこもる。
グエンの声は小さくないのに何でこんなに不必要にからだを近づけるのだ。
離れてほしい。
「俺は今日君に用が有って来たからね、ロモソルーン様は関係無いよ」
魔力摂取の時間を邪魔されたロモソルーンはそうは思っていないだろう。
「何度か午後に訪問したのだが留守だったものでね、こんな朝早くに来たんだよ」
あぁ、とシェルは思いあたる。
今は谷の夏。
トホスマ・スダの夏は短い。
逆に冬は長く、夏の今は晩秋から始まる長い作物の採れない季節を生き残る為の保存食の作成やその材料、燃料や魔石の採掘や作成などで大忙しなのだ。
それはロモソルーン達も例外ではなく、ここの所お昼前後で竜舎を空けて二人で仕入れに出かけていた。
でも、だったら置き手紙でも置いておいてくれれば良いのに・・・・。
「君は・・・ロモソルーン様に敬称を着けないで呼ぶのだね」
気持ち悪い溜めを含ませながらグエンが無遠慮にシェルの黒髪を一房指に絡ませながら咎める様に問う。
その、こちらの意思を確かめずに人のパーソナルスペースに押し入ってくる挙動に不快感だけが募った。
そういえば、ダコタも最初ギースの髪を妙にいじりたがったっけ。
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