闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

闇夜の星

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前にも言ったがシェルは奴隷出身だ。
一言に奴隷といっても色々種類が有る。
まず主に貴族が領地の田畑を管理する作業をさせる奴隷「農奴」、ただ娯楽の為にコロシアム等で命をかけて戦わされる奴隷。屋敷の下働きの為の奴隷、一般的に奴隷と言われる身分の者はこれを指すことが多い。
平民が行かない危険な鉱山等で重労働をさせる「鉱山奴隷」屈強な罪人や連続殺人犯等がなる。
そして夜の閨の相手をさせられる為の奴隷「性奴」。
シェルは性奴だった。
といっても実際に買われた事はない。
元々王国の平民だったシェルは両親が国に背き罪人の子として奴隷に落とされた。
ゴブリンに襲われたあの時、奴隷商人ゴメスはシェルの影の有る美しい見た目に目をつけ、みっちり３ヶ月以上も時間をかけて教育を施し初物バージンとしてまさに売りに行くところだったのだ。
その時買い手はすでに５人は名乗り出ていたとゴメスは旅の途中で言っていた。
処女バージンの性奴。
だからシェルはゴブリンの集団でも壊せない様な頑丈な檻に詰め込まれていたのだ。
万が一にも間違いが起きない様に。
性奴の教育は未だ大人の階段を上り始めたところだったシェルの心を屈辱と恥辱でズタズタにした。
ゴメスはシェルに女とする練習を豚や猿の死骸でさせ、男を受け入れる練習を張りぼてや人形に固定した腸詰めで練習させたのだ。
薬も使われた。
奴隷になってからロモソルーンに合うまでの約３ヶ月間は本当に地獄だった。
狂いはしなかったがきっと何かが壊れてしまったのだ。
心の傷は未だ塞がってはいない。
ロモソルーンに邪魔されるまでもなく、シェルは恋人なんて作る気なんて無い。
女が親しくなろうとすると豚の死骸が、男が親しくなろうとシェルに近づくとあの張りぼてと腸詰、ゴメスの与えた地獄の苦しみがまるで今起きている事の様に蘇りシェルを債なむ。
嫌悪感しか湧いて来ない。
ロモソルーンの側、それだけがシェルが安心できる場所だ。

それもきっともうすぐ終るのだけれども・・・
時が止まってしまえば良いのに。
シェルはロモソルーンが成獣に近付く度に願わずにはいられないでいる。