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闇夜の星

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シェルとロモソルーンが出会ったのは今から5年前、初めて出会った場所はゴブリンの巣穴の中だった。
ロモソルーンはまだ卵で、ゴブリンの巣穴の中に放置されていたところにシェルが拐われて来た。
そのときのシェルの歳は13、奴隷として、奴隷商人ゴメスの手によって王国リンドウから帝国ギリスへ運ばれている途中だった。
その旅団がゴブリン達の襲撃にあい、全滅した。
シェルは旅団の唯一の生き残りだった。
護衛として雇われたクセに奴隷仲間を影で犯していた傭兵のダコタも、奴隷商人のゴメスも、仲の良かった奴隷仲間のギースも、皆シェルの目の前でいたぶられ無惨に殺されていった。
酷い殺され方だった。
今でも夢にうなされる。
仲の良かったギースの死は思い出すだけでも涙があふれる。

シェルはたまたま頑丈な檻に入れられていたため、ゴブリンはシェルに手を出す事が出来ず檻ごと巣穴まで引きずり込まれてしまったのだ。
そしてたまたま頑丈な檻に閉じ込められていたた為に、たまたま檻ごとゴブリンの巣穴に引きずり込まれたシェルは、たまたまロモソルーンの卵の直ぐ側におかれ、たまたま魔力を少しだけ持っていたシェルは、卵から孵るためにドラゴンが必要な魔力を与えた。
卵から孵ったロモソルーンがゴブリンを壊滅させてシェルを檻から出した。
孵りたてのドラゴンはとてもお腹を空かせているのだ。
ゴブリンもシェルを閉じ込めていた檻も全部ロモソルーンの腹に収まった。
シェルにはあの小さかったロモソルーンの体のどこにあの大量のモノ・・が入ったのか今でも不思議でならない。


ドラゴンの雛ロモソルーンが孵ってしまえばあとは簡単だった。
ドラゴンには帰巣本能が有るから帰る方向は分かるし。
ロモソルーンは卵から孵ったひな鳥が親と思い込むみたいにシェルになついていた。
雛とはいえゴブリンの巣を丸ごと一つ潰したドラゴンが側に居れば、魔物はドラゴンの気配に恐れを成して出会う前に逃げるか隠れるかショック死する。
魔物の生まれる魔の森を歩いていたのに、とうとうあの時生きてる魔物には一度も出会わなかった。
一緒に森を進み初めて幾日も経たない内に、ゴブリンの巣を壊滅させた雛ドラゴンの気配を察知して、卵を探していたトホスマ・スダのドラゴン達が迎えに来てくれた。
こうして奴隷だったシェルはトホスマ・スダの国民になった。

この時シェルの身に起きた出来事は今もシェルの心に深い傷を残している。
不意に思いだしたり、悪夢に見て飛び起き一人震える事も珍しくない。
その度にロモソルーンはシェルに寄り添い鼻面で頬を撫で、しっぽでくすぐり元気づけている。・・・若干荒療治ではあるが。

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