闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

闇夜の星

◆

最初の記憶は暗闇の中。
次に一粒の星が瞬いた。
もっとたくさん見えても良いハズなのに、星は一つしか無かった。
コツコツと壁を叩いて仲間を呼ぶ。
返事は無かった。絶望的な孤独。
漆黒の闇夜、何も見えず何も聞こえず、寒かった。
啼きそうになりながら最後にもう一度だけよくよく目を凝らしたら無限に見える暗闇のなかで。ポツリと微かな星が見えた。小さな小さな瞬きだった。
一度気がついてしまえば、見失う事はなく。
たった一粒弱く瞬く星だけが暗黒に飲み込まれそうな自分の魂を光へと導いた。
星のくれる微かな魔力ねつが自分の命を繋いでくれた。
あぁ、この星が自分のただ一つなのだと思った。
星は、いつも悲しく泣く様に瞬いていた。
「未だだよ。未だ出てきちゃ駄目だ。僕の熱を全部上げる。殺されないくらい強くなってから出ておいで。」
与えられる魔力は母が赤子の額に落とす口づけの様に優しく、絶える事は無かった。
だから、だから決めたんだ。
誰にも負けない位強く・・なる
そしてこれから自分が星を守るのだ。ずっとずぅっと。
この闇夜たまごの中からでたらきっと。