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時計塔の鐘の始まりの歌3
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フロアを揺るがす様なバルの爆笑に流石にリリィも顔を顰め抗議する。
「オイそこまで爆笑する事無いだろう・・・。」
「あははははは!、これが笑わずにいられるモンですか!グイネバルド支部始まって以来の奇跡のおしどり夫婦とか言われ始めてるカップルが肝心の『始まりの鐘』でケツまづくとか!うひひひっ。」
腹をかかえて笑いコケるバルをリリィは渋い顔で睨んだ。
「仕方ないだろう、見つからない物は見つからん!。」
「ヒント位貰ってないんですか?こういうのは所詮催し物みたいな物なんだから、普通隠した本人から最初から答えを貰っているモンでしょう?。」
「サナリアからは『私の匂いが有る所』としか聞いていない、それが・・・至る所にあってだな・・・。それこそまんべんなく、確認したのはウロボロスの中だけだが、恐らく街中にこんな感じだろう。あいつ絶対魔道で街中に同じ濃度だけ自分の匂い着けてるぞ・・・・。」
「うはははっ団長、それ、暗に結婚断られてるんじゃねぇっすか?!。」
「やめろ、不吉な事言うな、始りの鐘の最中だぞ。お前じゃ無かったら殴ってるわ。」
「あははははは。俺だって団長相手じゃ無かったら言わねぇよ。」
「お前、ホントそういう所だからな。」
溜息交じりにリリィは言って、探し物をする手を止めないバルを見た。
「お前こそどうなんだ?。こんな小さな机の中の封筒一つ見つけられないじゃないか。どんな物なんだ?」
「それが、黒に薄紫の文字でウロボロスって書いた封筒だって話なんですけど何処にも無くて、さっき遠見鏡で聞いたがよく探せの一点張りで・・・。」
「お前こそオチョクられているんじゃねぇのか?」
「仕返しはやめて下さいよ。」
「ふん、この程度の言い合いで仕返しと思うなら始まりの鐘の最中の人間を揶揄うな!クイブは諜報部員の前に魔道師であり、実力は腕利きの魔導師だぞ、大事な書類なら魔術で隠しているとかは無いのか?」
「うーん。それらしい物は無いんですよね。魔力が籠ってる物なんて机の上のオルゴール位で。」
「ちょっと待て、オルゴールに何で魔力が込められているんだよ。」
「あぁ、これ、魔石入れにもなってるんですよ。」
そう言って、バルは机の上のオルゴールを取って蓋を開けて見せた。
諜報員は単独行動が多い、その代わり、小まめに本部と通信出来る様に専用の通信機を携帯していく、その通信機は、基本自分の魔力で動かすが、魔力を込めた魔石でも動かす事が出来る。クイブはその魔石をオルゴールの中の小さなポケットに入れて管理していた様だ。
「あん?変だな、減っていない、出張の時は必ず三個は持っていくのに・・・。」
蓋を開けたオルゴールが曲を奏でる。『始りの鐘』の曲だった。
「何で『始まりの鐘』の曲が流れるんだ?いつもの曲と違う・・・」
バルが呆然と言ったその時だった。
クイブの机の板部分が微かに振動し、ブーンっと音を立て始め、机の天板の板を二枚に割る様に光のすじが走ったかと思うと、おもむろにパカリと二枚に割れた。
上側が持ち上がり、下側には真っ黒な封筒が置いてある。薄紫でウロボロスと書いてあった。
「それなんだろ?探し物。」
「・・・・・・そうっすね。」
バルはソロリと手を伸ばし、その黒い封筒を手に取ると、封をしていないその封筒の中身を確かめた。
中からは鍵が一つと便箋が一枚入っていた。
便箋には一行
「机は調べ終わったか?そこもこっちも好きに調べろ。」
と書いてあり、クイブが情報収集の為に、グイネバルド住民のフリをしている時の住処までの地図が描かれていた。
「あははははは!おっ前!強制的に『始まりの鐘』秒でクリアさせられてどうするんだよ!!!分かってんな!あの人。お前にマジで探させたら本当に見つけられ無ぇなんて事態になりかねぇもんな!」
「う、うるせぇっすよ!」
ここに、ウロボロスグイネバルド支部史上最短で『始まりの鐘』の儀式を終えた夫婦が誕生した。
若干の笑いと共に。
「オイそこまで爆笑する事無いだろう・・・。」
「あははははは!、これが笑わずにいられるモンですか!グイネバルド支部始まって以来の奇跡のおしどり夫婦とか言われ始めてるカップルが肝心の『始まりの鐘』でケツまづくとか!うひひひっ。」
腹をかかえて笑いコケるバルをリリィは渋い顔で睨んだ。
「仕方ないだろう、見つからない物は見つからん!。」
「ヒント位貰ってないんですか?こういうのは所詮催し物みたいな物なんだから、普通隠した本人から最初から答えを貰っているモンでしょう?。」
「サナリアからは『私の匂いが有る所』としか聞いていない、それが・・・至る所にあってだな・・・。それこそまんべんなく、確認したのはウロボロスの中だけだが、恐らく街中にこんな感じだろう。あいつ絶対魔道で街中に同じ濃度だけ自分の匂い着けてるぞ・・・・。」
「うはははっ団長、それ、暗に結婚断られてるんじゃねぇっすか?!。」
「やめろ、不吉な事言うな、始りの鐘の最中だぞ。お前じゃ無かったら殴ってるわ。」
「あははははは。俺だって団長相手じゃ無かったら言わねぇよ。」
「お前、ホントそういう所だからな。」
溜息交じりにリリィは言って、探し物をする手を止めないバルを見た。
「お前こそどうなんだ?。こんな小さな机の中の封筒一つ見つけられないじゃないか。どんな物なんだ?」
「それが、黒に薄紫の文字でウロボロスって書いた封筒だって話なんですけど何処にも無くて、さっき遠見鏡で聞いたがよく探せの一点張りで・・・。」
「お前こそオチョクられているんじゃねぇのか?」
「仕返しはやめて下さいよ。」
「ふん、この程度の言い合いで仕返しと思うなら始まりの鐘の最中の人間を揶揄うな!クイブは諜報部員の前に魔道師であり、実力は腕利きの魔導師だぞ、大事な書類なら魔術で隠しているとかは無いのか?」
「うーん。それらしい物は無いんですよね。魔力が籠ってる物なんて机の上のオルゴール位で。」
「ちょっと待て、オルゴールに何で魔力が込められているんだよ。」
「あぁ、これ、魔石入れにもなってるんですよ。」
そう言って、バルは机の上のオルゴールを取って蓋を開けて見せた。
諜報員は単独行動が多い、その代わり、小まめに本部と通信出来る様に専用の通信機を携帯していく、その通信機は、基本自分の魔力で動かすが、魔力を込めた魔石でも動かす事が出来る。クイブはその魔石をオルゴールの中の小さなポケットに入れて管理していた様だ。
「あん?変だな、減っていない、出張の時は必ず三個は持っていくのに・・・。」
蓋を開けたオルゴールが曲を奏でる。『始りの鐘』の曲だった。
「何で『始まりの鐘』の曲が流れるんだ?いつもの曲と違う・・・」
バルが呆然と言ったその時だった。
クイブの机の板部分が微かに振動し、ブーンっと音を立て始め、机の天板の板を二枚に割る様に光のすじが走ったかと思うと、おもむろにパカリと二枚に割れた。
上側が持ち上がり、下側には真っ黒な封筒が置いてある。薄紫でウロボロスと書いてあった。
「それなんだろ?探し物。」
「・・・・・・そうっすね。」
バルはソロリと手を伸ばし、その黒い封筒を手に取ると、封をしていないその封筒の中身を確かめた。
中からは鍵が一つと便箋が一枚入っていた。
便箋には一行
「机は調べ終わったか?そこもこっちも好きに調べろ。」
と書いてあり、クイブが情報収集の為に、グイネバルド住民のフリをしている時の住処までの地図が描かれていた。
「あははははは!おっ前!強制的に『始まりの鐘』秒でクリアさせられてどうするんだよ!!!分かってんな!あの人。お前にマジで探させたら本当に見つけられ無ぇなんて事態になりかねぇもんな!」
「う、うるせぇっすよ!」
ここに、ウロボロスグイネバルド支部史上最短で『始まりの鐘』の儀式を終えた夫婦が誕生した。
若干の笑いと共に。
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