77 / 124
サナリア・アルテミナとリリィ・ブラック1
しおりを挟む
サナリアは眠りにつく前、目覚める時はきっと一人ぼっちになっているだろうと思っていた。
何せ、自分が今夜作った悪夢は史上最低の魔法だ。
毎日文字通り死物狂いで戦って、必死に生きている者達に戦争に関する悪夢を見せるなんて、酷いにも程がる。グイネバルドに今夜眠る全ての大人に繰り返し自分の犯して来た罪の記憶を場所を変え、品を変え本人に見せ続けたのだ。
悪趣味もここに極まれりと言われても何も言い返せない。
しかし、これはリリィが魔導士になった時から決めていた事でもあったのだ。
もしも毎年行われるパレードに引っ張りだされる様な事があって、もし、あげく魔道部代表なんかさせられて、もしラストのイリュージョンまで担当させられる様な事が起きたら、この、無駄な争いばかりに夢中になって、互いの幸せの足を引っ張る所か自ら不幸のぬるま湯にどっぷり浸かって、戦争にばかり夢中になっているグイネバルド全国民にとっておきのナイトメアを見てもらう。自分も含め、例外は作らない、魔王死んでからのこの三百年余り、自分達のメンツばかり気にして碌々国土の回復も行わなわず、戦争に明け暮れている国なんて世界広しと云えどもこのグイネバルドだけだ。
国民の視野は狭まり、自分達以外の全てを駆逐する事が己がなすべき事だと勘違いしている。一度、他の世界を見てみれば良いのだ。
権力の強い者の思惑に踊らされ、本当は必要の無い戦いをしている事に気が着いた方が良い。
思想が違う他者を殺す以外に他にも道は有る事を、上意に従いながらも誰かを殺さずに済む方法は有るのだという事を、思いつける視野を持つ切っ掛けを与えたかった。
サナリアの作った悪夢は、本人の経験や心理状態に連動して多少内容が変わる様に作ってある。
リリィはウロボロスの武闘部門、しかも最も過酷な作戦を担う事の多い第一騎士団団長だ。
きっと今夜みた悪夢は相当のものだっただろう。『もしかしたら愛想尽かされるかもしれないな。』とも思っていた。
しかし、予想に反して、目覚めた時サナリアはガルゴの腕の中で身が覚めた。
まるで西北の国の百年眠った姫君のおとぎ話みたいに、目が覚めたら目の前に黒豹の、茶金の瞳と目が合った。
とたんに勢い良く抱き込まれる。
見ると大人四人は軽く寝転がれそうな位大きなベットに沈められていた。
眠る前はリリィの執務室に居た筈だが・・・。
・・・おゃ?と周辺を見まわそうとした顔を両手で包まれ貪る様な口づけをされた。
唇と何度も食まれ、大きな舌が口内を余す所なく舐めまわす。上顎は殊更丹念に嬲られた。
「んっ、んっ、リリィ・・・ちょっ激し。」
抗おうと両腕を上げようとして、思う様に体が動かない事を自覚し首を傾げた。
理由は直ぐに判明した。
「こっの!一月以上も眠りこけやがって!」
サナリアは何の作用か、一人悪夢から目覚める事は無く、昏々と一月以上も眠り続け、体が萎えてしまっていたのだ。
リリィの手が、サナリアの全てを確かめる様に体中を張っていく、萎えた四肢では第一騎士団の剛腕に叶うハズも無く、全身を撫でさすり、おかしな所は無いか確かめるリリィの手を受け入れるしか無かった。
サナリアの体を確かめる腕は繰り返し撫で、サナリアの無事を確かめる度に次第に色味を増し始め、その内すっかり愛撫に変わった。
「リリィ、私はどの位眠って?」
「一体どんな悪夢を見ていたんだ、約一月半だぞ。日に何度も魘されて、見てる俺は気が気じゃ無かった。」
キスと愛撫で高まった体の胸の尖りを大きな指が周囲をクルクルと撫でて焦らしてから優しく摘まんで硬くなった粒の先を撫でる。
サナリアの下腹部に期待と熱がわだかまって下枝に力が籠り始めた。
「ここ・・・どこ?」
「俺の部屋。どこか痛みの有る所は無いか?床ずれ等起きない様に気を付けた筈だが・・・。自身で寝返りは打ってたしな。」
太腿を跨ぐリリィの中心も又、熱を持ち始めていた。
「とくには、・・・・しかし、私、寝起きなんですけど・・・しかも悪夢から覚めたばかりで・・・。」
「だから、だろ。男なら、あんなやべぇ夢見た後なんて、たっぷり可愛がって欲しいだろ?。」
否定はしない、しかし
「体が思う様に動きません。」
「任せろ、この一月半アンタの全ての面倒を見たのは俺だ。むしろ一月半分の頑張りのご褒美を強請りたい位だな。」
サナリアは真っ赤になって形ばかりの抗いを捨て観念した。
何せ、自分が今夜作った悪夢は史上最低の魔法だ。
毎日文字通り死物狂いで戦って、必死に生きている者達に戦争に関する悪夢を見せるなんて、酷いにも程がる。グイネバルドに今夜眠る全ての大人に繰り返し自分の犯して来た罪の記憶を場所を変え、品を変え本人に見せ続けたのだ。
悪趣味もここに極まれりと言われても何も言い返せない。
しかし、これはリリィが魔導士になった時から決めていた事でもあったのだ。
もしも毎年行われるパレードに引っ張りだされる様な事があって、もし、あげく魔道部代表なんかさせられて、もしラストのイリュージョンまで担当させられる様な事が起きたら、この、無駄な争いばかりに夢中になって、互いの幸せの足を引っ張る所か自ら不幸のぬるま湯にどっぷり浸かって、戦争にばかり夢中になっているグイネバルド全国民にとっておきのナイトメアを見てもらう。自分も含め、例外は作らない、魔王死んでからのこの三百年余り、自分達のメンツばかり気にして碌々国土の回復も行わなわず、戦争に明け暮れている国なんて世界広しと云えどもこのグイネバルドだけだ。
国民の視野は狭まり、自分達以外の全てを駆逐する事が己がなすべき事だと勘違いしている。一度、他の世界を見てみれば良いのだ。
権力の強い者の思惑に踊らされ、本当は必要の無い戦いをしている事に気が着いた方が良い。
思想が違う他者を殺す以外に他にも道は有る事を、上意に従いながらも誰かを殺さずに済む方法は有るのだという事を、思いつける視野を持つ切っ掛けを与えたかった。
サナリアの作った悪夢は、本人の経験や心理状態に連動して多少内容が変わる様に作ってある。
リリィはウロボロスの武闘部門、しかも最も過酷な作戦を担う事の多い第一騎士団団長だ。
きっと今夜みた悪夢は相当のものだっただろう。『もしかしたら愛想尽かされるかもしれないな。』とも思っていた。
しかし、予想に反して、目覚めた時サナリアはガルゴの腕の中で身が覚めた。
まるで西北の国の百年眠った姫君のおとぎ話みたいに、目が覚めたら目の前に黒豹の、茶金の瞳と目が合った。
とたんに勢い良く抱き込まれる。
見ると大人四人は軽く寝転がれそうな位大きなベットに沈められていた。
眠る前はリリィの執務室に居た筈だが・・・。
・・・おゃ?と周辺を見まわそうとした顔を両手で包まれ貪る様な口づけをされた。
唇と何度も食まれ、大きな舌が口内を余す所なく舐めまわす。上顎は殊更丹念に嬲られた。
「んっ、んっ、リリィ・・・ちょっ激し。」
抗おうと両腕を上げようとして、思う様に体が動かない事を自覚し首を傾げた。
理由は直ぐに判明した。
「こっの!一月以上も眠りこけやがって!」
サナリアは何の作用か、一人悪夢から目覚める事は無く、昏々と一月以上も眠り続け、体が萎えてしまっていたのだ。
リリィの手が、サナリアの全てを確かめる様に体中を張っていく、萎えた四肢では第一騎士団の剛腕に叶うハズも無く、全身を撫でさすり、おかしな所は無いか確かめるリリィの手を受け入れるしか無かった。
サナリアの体を確かめる腕は繰り返し撫で、サナリアの無事を確かめる度に次第に色味を増し始め、その内すっかり愛撫に変わった。
「リリィ、私はどの位眠って?」
「一体どんな悪夢を見ていたんだ、約一月半だぞ。日に何度も魘されて、見てる俺は気が気じゃ無かった。」
キスと愛撫で高まった体の胸の尖りを大きな指が周囲をクルクルと撫でて焦らしてから優しく摘まんで硬くなった粒の先を撫でる。
サナリアの下腹部に期待と熱がわだかまって下枝に力が籠り始めた。
「ここ・・・どこ?」
「俺の部屋。どこか痛みの有る所は無いか?床ずれ等起きない様に気を付けた筈だが・・・。自身で寝返りは打ってたしな。」
太腿を跨ぐリリィの中心も又、熱を持ち始めていた。
「とくには、・・・・しかし、私、寝起きなんですけど・・・しかも悪夢から覚めたばかりで・・・。」
「だから、だろ。男なら、あんなやべぇ夢見た後なんて、たっぷり可愛がって欲しいだろ?。」
否定はしない、しかし
「体が思う様に動きません。」
「任せろ、この一月半アンタの全ての面倒を見たのは俺だ。むしろ一月半分の頑張りのご褒美を強請りたい位だな。」
サナリアは真っ赤になって形ばかりの抗いを捨て観念した。
10
お気に入りに追加
323
あなたにおすすめの小説
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。

【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。
【完結】雨降らしは、腕の中。
N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年
Special thanks
illustration by meadow(@into_ml79)
※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる