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サナリアの悪夢1
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儀式の完了を祝う空気が覚めない内に、その勢いを利用してサナリアは強引にパレードのラストを飾った。
グイネバルド全土の夜空に魔術をかけて、色とりどり、変幻自在の魔法の花火の花を大量に咲かせたのだ。
黄金の螺子討伐騒ぎですっかり興が覚めた一般の観客達も大喜びで花火に見入って、数十分の花火の後、ラストは大きな花火のドラゴンが夜空を舞い踊る様に泳いで大盛況の内にウロボロスのパレードは幕を閉じた。
パレード終了後の報告会議での魔道部門の報告を聞いた所によると、サナリアはガルゴの『神の選抜』の儀式のゴタゴタに巻き込まれ、当初予定していたイリュージョンは取止め、急遽花火にした様だ。
去年と被るネタだったにも関わらず、随分と好評かだったという話だが、本人はせっかくこの日の為に組んだ魔術を発動出来なくて若干不満そうだった。
結局、討伐やパレードの後片付け、各責任者の報告会議等、全て済んでガルゴの体が空いたのは、真夜中近くになってからだった。
真夜中、ガルゴは自信の執務室でソワソワとしながらサナリアを待っていた。
これでは今日会うと言った約束は中止だろう、と流石のガルゴも思っていたが、終わった去り際に『執務室で待ってって、一時間後に行く』とだけ言い残して出ていった。
もう直ぐ約束の一時間後だ、ガルゴはサナリアの気配を探っては姿見で自分の格好に変な所が無いかチェックしていた。
サナリアは、約束通りこの執務室に向かっている。
「・・・・本当に分かる。」
『神の選抜』の効果は既に現れていた。
今のガルゴには、サナリアがどんな状況なのか手に取る様に分かった。
それは不思議な感覚で、離れた所に居るのにサナリアの体調の良し悪しまで分かった。
感覚としては、面白い小説を夢中になって読んでいる時、文字を読んでいるという感覚は無くなり、その物語の場面を、実際に自分の目で見ている様な感覚に陥る事が有るが、サナリアの様子を見るガルゴはまさにその状態だった。
予想以上の成果に満足しつつも、この契約の様な儀式には何か副作用的なものでも有るのか、現在ガルゴは今にもサナリアの直ぐ傍まで駆け付けたいという衝動に苛まれていた。
サナリアは、悠々と魔道部門の廊下を一人で歩いている。早く会いたい、その身を抱きしめたい、砂漠で水を求める旅人の様なその強い枯渇感はサナリアに合わななければ収まりそうも無い。
堪らずガルゴは再びサナリアの様子を伺った。
サナリアの周囲に人影は殆ど無いが、サナリアが側を通ると何故かギョッとした様な様子で振り返りジロジロ見ているのでガルゴはかなり面白くない。自分のなのに不躾にジロジロと見やがって、と一人少しイライラしている。サナリアはもう直ぐ魔道研究棟の出口に差し掛かる所だった。
早くこちらも支度を整えないと来てしまう。
ガルゴは目の前の部下達を見つめてため息を着いた。
「お前ら、もう出ていけ。これから大事な客が来る事になっているんだ。」
ため息と共に部下を追い出しにかかったガルゴだったが、大いに酔っぱらって上司の恋の成就を見届けようと駆け付けた部下達は帰る気なんてさらさら無い。
「またまたぁ。客だなんていっちゃって、愛しのアルテミナ研究員が来るんでしょう。」
「すごかったですねぇ、あの儀式。圧倒されました。」
「なに、お前見れたの?俺最後の方をちょこっと遠くから見ただけだった。どんなんよ?」
「何か、強烈だった。見てるこっちがうわーってなった。」
「魔力の流れが分かる俺には本当に強烈だったよ。なにせアルテミナ研究員の大量の魔力がさぁ」
「良いからお前らホント今日は出ていけ!早くしないとサナリアが来ちまうだろうが!」
焦るガルゴを他所に集まった部下達は一行に出ていこうとしなかった。
「サナリア!団長アルテミナ研究員のこと『サナリア』って呼んでる~!。」
「え、なに?団長達本当はもう恋人同士なの?」
「うるせえ!早くでてけー!」
「イヤイヤ、何言ってるんですか、記念すべきガルゴ団長の晴れの日を見届けなくてどうするんですか、アルテミナ研究員にも一言物申してですね。」
「っざけんなサナリアに余計な事少しでも吹き込んでみろ、お前マジ只じゃおかねぇからな!。」
そうこうしている内に執務室の扉がノックされた。
ノックしたのは、勿論サナリアだった。
ノックの音がしたガルゴの反応ったらなかった。
部下の首根っこを掴み、毛も耳も逆立てていたのに一瞬にして耳と尻尾が重力にに負けた。
しかし、ガルゴが扉を開けて招き入れたサナリアを見て驚いたのは部下の方だった。
グイネバルド全土の夜空に魔術をかけて、色とりどり、変幻自在の魔法の花火の花を大量に咲かせたのだ。
黄金の螺子討伐騒ぎですっかり興が覚めた一般の観客達も大喜びで花火に見入って、数十分の花火の後、ラストは大きな花火のドラゴンが夜空を舞い踊る様に泳いで大盛況の内にウロボロスのパレードは幕を閉じた。
パレード終了後の報告会議での魔道部門の報告を聞いた所によると、サナリアはガルゴの『神の選抜』の儀式のゴタゴタに巻き込まれ、当初予定していたイリュージョンは取止め、急遽花火にした様だ。
去年と被るネタだったにも関わらず、随分と好評かだったという話だが、本人はせっかくこの日の為に組んだ魔術を発動出来なくて若干不満そうだった。
結局、討伐やパレードの後片付け、各責任者の報告会議等、全て済んでガルゴの体が空いたのは、真夜中近くになってからだった。
真夜中、ガルゴは自信の執務室でソワソワとしながらサナリアを待っていた。
これでは今日会うと言った約束は中止だろう、と流石のガルゴも思っていたが、終わった去り際に『執務室で待ってって、一時間後に行く』とだけ言い残して出ていった。
もう直ぐ約束の一時間後だ、ガルゴはサナリアの気配を探っては姿見で自分の格好に変な所が無いかチェックしていた。
サナリアは、約束通りこの執務室に向かっている。
「・・・・本当に分かる。」
『神の選抜』の効果は既に現れていた。
今のガルゴには、サナリアがどんな状況なのか手に取る様に分かった。
それは不思議な感覚で、離れた所に居るのにサナリアの体調の良し悪しまで分かった。
感覚としては、面白い小説を夢中になって読んでいる時、文字を読んでいるという感覚は無くなり、その物語の場面を、実際に自分の目で見ている様な感覚に陥る事が有るが、サナリアの様子を見るガルゴはまさにその状態だった。
予想以上の成果に満足しつつも、この契約の様な儀式には何か副作用的なものでも有るのか、現在ガルゴは今にもサナリアの直ぐ傍まで駆け付けたいという衝動に苛まれていた。
サナリアは、悠々と魔道部門の廊下を一人で歩いている。早く会いたい、その身を抱きしめたい、砂漠で水を求める旅人の様なその強い枯渇感はサナリアに合わななければ収まりそうも無い。
堪らずガルゴは再びサナリアの様子を伺った。
サナリアの周囲に人影は殆ど無いが、サナリアが側を通ると何故かギョッとした様な様子で振り返りジロジロ見ているのでガルゴはかなり面白くない。自分のなのに不躾にジロジロと見やがって、と一人少しイライラしている。サナリアはもう直ぐ魔道研究棟の出口に差し掛かる所だった。
早くこちらも支度を整えないと来てしまう。
ガルゴは目の前の部下達を見つめてため息を着いた。
「お前ら、もう出ていけ。これから大事な客が来る事になっているんだ。」
ため息と共に部下を追い出しにかかったガルゴだったが、大いに酔っぱらって上司の恋の成就を見届けようと駆け付けた部下達は帰る気なんてさらさら無い。
「またまたぁ。客だなんていっちゃって、愛しのアルテミナ研究員が来るんでしょう。」
「すごかったですねぇ、あの儀式。圧倒されました。」
「なに、お前見れたの?俺最後の方をちょこっと遠くから見ただけだった。どんなんよ?」
「何か、強烈だった。見てるこっちがうわーってなった。」
「魔力の流れが分かる俺には本当に強烈だったよ。なにせアルテミナ研究員の大量の魔力がさぁ」
「良いからお前らホント今日は出ていけ!早くしないとサナリアが来ちまうだろうが!」
焦るガルゴを他所に集まった部下達は一行に出ていこうとしなかった。
「サナリア!団長アルテミナ研究員のこと『サナリア』って呼んでる~!。」
「え、なに?団長達本当はもう恋人同士なの?」
「うるせえ!早くでてけー!」
「イヤイヤ、何言ってるんですか、記念すべきガルゴ団長の晴れの日を見届けなくてどうするんですか、アルテミナ研究員にも一言物申してですね。」
「っざけんなサナリアに余計な事少しでも吹き込んでみろ、お前マジ只じゃおかねぇからな!。」
そうこうしている内に執務室の扉がノックされた。
ノックしたのは、勿論サナリアだった。
ノックの音がしたガルゴの反応ったらなかった。
部下の首根っこを掴み、毛も耳も逆立てていたのに一瞬にして耳と尻尾が重力にに負けた。
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