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王子と騎士4
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あぁぁ・・・もう・・・と盛大に溜息を一つ吐いてサナリアは観念する事にした。
「後悔しても、そう簡単には解く事は出来ませんからね!!」
「!後悔なんかするものか!」
「分かっているんですか?!近しい人の様子がいつでも分かる事の不便さが、良い事ばかりじゃ無いんですよ?!」
「それでも、俺は絆がどうしても欲しい。」
「これが原因で団長業に支障を来したら即刻解除しますからね!」
「・・・・分かった。」
「大体、何で今なんですか、こんな急ごしらえじゃ、恰好も着かないじゃないですか」
サナリアはブツブツと言いながらもガルゴの剣の前に降り立った。
割を食うのは騎士の方ばかりなのに、泣きつくみたいに頼まれちゃ流石に断れない。何のかんの言っても、惚れた弱みだ。
サナリアはガルゴには甘いのだ。
プライベートの一つや二つくれてやる位に、サナリアにとっても。『リリィ』との思い出は心の支えなのだから。
しかし、殆ど部外者が周囲に居ないと言っても、ここは街中だ、どこから誰に見られているのかも分からないのでウロボロスの制服を着ている限り、マスクは取れない。
このふざけた格好で儀式を行うしかない。
「かの有名な『神の選抜』もこうなっちゃ形無しですよ。」
神聖と言われていた儀式なのに、と、かの亡国の王子はぼやきつつ、それでも事を進める事にする。
「リリィ・ブラック、剣を抜いて、二本とも。」
「あ?」
「魔術師でも無い者が、誰かを縛り、覗き見る力を得る様な儀式が、跪くだけのお綺麗な物な訳無いでしょう。この儀式は一種呪いに近いんです。『神』の血液が必要なんです。」
『ほら、ノロノロしてると見物人が増えちゃうじゃないですか、早くする!』と、サナリアはガルゴを急かした。
「血液?血か?どの位?何で剣が二本も必要なんだ?」
やっと望みを聞き入れてもらえたガルゴは言われるがままに二本の剣をすらりと抜いた。
「貴方が二本も私に捧げたからでしょう。重くて私じゃ持てないからそのまま持ってて下さい。絶対に動かないで、私はまだ死にたくないです。血の量ですか?。」
サナリアが抜かれた剣に近づく、愛しい人の首が自分の持つ剣に近付いてきて、ガルゴの全身が総毛立った。
サナリアが感情の無い声で言った。
「沢山です。」
そう言って、二本重ねて立てられていた剣に自分の首をあてがうと、おもむろに身を起こした。
剣が深くサナリアの首に食い込む、鮮血が空を舞った。
「サナリアー!」
ガルゴが悲鳴をあげる。
「剣を離さないで!やり直しになります!。」
「!」
サナリアの叱咤に慌てて剣を持ち直す。
出来たばかりの傷口を手で押さえながら、サナリアはゆらりと立ち上がった。
「さぁ、必要な物は揃いました。儀式を始めましょう。私の傷口が乾かない内に済まさなければならないんです。ボヤボヤしている時間は有りませんよ。」
傷は儀式が終わるまで治療出来ないらしい。
そうして始まった儀式は、以外とシンプルなものだった。
サナリアが静かに、そして厳かに最初の言葉を紡ぎだし始めた。
「今ここに・・・」
今ここに、二振りの剣が『神』捧げられた。
『神』はここにそれを召し上げる事を宣言する。
剣は『神』の血を吸い、研ぎ澄まされた。
それは、『神』に許された者の証し、今一度捧げよ。
サナリアが言い終わると同時に、剣にベットリと着いていたサナリアの血液は次第に剣の中央に集まり出して柄や刀身を彩る紅の飾りと成ってしまった。
ガルゴはあっけにとられながも言われるままに剣を鞘に戻し、二本の剣をサナリアの足元へと持ってきた。
サナリアが剣の側に一歩踏み出る。
「後悔しても、そう簡単には解く事は出来ませんからね!!」
「!後悔なんかするものか!」
「分かっているんですか?!近しい人の様子がいつでも分かる事の不便さが、良い事ばかりじゃ無いんですよ?!」
「それでも、俺は絆がどうしても欲しい。」
「これが原因で団長業に支障を来したら即刻解除しますからね!」
「・・・・分かった。」
「大体、何で今なんですか、こんな急ごしらえじゃ、恰好も着かないじゃないですか」
サナリアはブツブツと言いながらもガルゴの剣の前に降り立った。
割を食うのは騎士の方ばかりなのに、泣きつくみたいに頼まれちゃ流石に断れない。何のかんの言っても、惚れた弱みだ。
サナリアはガルゴには甘いのだ。
プライベートの一つや二つくれてやる位に、サナリアにとっても。『リリィ』との思い出は心の支えなのだから。
しかし、殆ど部外者が周囲に居ないと言っても、ここは街中だ、どこから誰に見られているのかも分からないのでウロボロスの制服を着ている限り、マスクは取れない。
このふざけた格好で儀式を行うしかない。
「かの有名な『神の選抜』もこうなっちゃ形無しですよ。」
神聖と言われていた儀式なのに、と、かの亡国の王子はぼやきつつ、それでも事を進める事にする。
「リリィ・ブラック、剣を抜いて、二本とも。」
「あ?」
「魔術師でも無い者が、誰かを縛り、覗き見る力を得る様な儀式が、跪くだけのお綺麗な物な訳無いでしょう。この儀式は一種呪いに近いんです。『神』の血液が必要なんです。」
『ほら、ノロノロしてると見物人が増えちゃうじゃないですか、早くする!』と、サナリアはガルゴを急かした。
「血液?血か?どの位?何で剣が二本も必要なんだ?」
やっと望みを聞き入れてもらえたガルゴは言われるがままに二本の剣をすらりと抜いた。
「貴方が二本も私に捧げたからでしょう。重くて私じゃ持てないからそのまま持ってて下さい。絶対に動かないで、私はまだ死にたくないです。血の量ですか?。」
サナリアが抜かれた剣に近づく、愛しい人の首が自分の持つ剣に近付いてきて、ガルゴの全身が総毛立った。
サナリアが感情の無い声で言った。
「沢山です。」
そう言って、二本重ねて立てられていた剣に自分の首をあてがうと、おもむろに身を起こした。
剣が深くサナリアの首に食い込む、鮮血が空を舞った。
「サナリアー!」
ガルゴが悲鳴をあげる。
「剣を離さないで!やり直しになります!。」
「!」
サナリアの叱咤に慌てて剣を持ち直す。
出来たばかりの傷口を手で押さえながら、サナリアはゆらりと立ち上がった。
「さぁ、必要な物は揃いました。儀式を始めましょう。私の傷口が乾かない内に済まさなければならないんです。ボヤボヤしている時間は有りませんよ。」
傷は儀式が終わるまで治療出来ないらしい。
そうして始まった儀式は、以外とシンプルなものだった。
サナリアが静かに、そして厳かに最初の言葉を紡ぎだし始めた。
「今ここに・・・」
今ここに、二振りの剣が『神』捧げられた。
『神』はここにそれを召し上げる事を宣言する。
剣は『神』の血を吸い、研ぎ澄まされた。
それは、『神』に許された者の証し、今一度捧げよ。
サナリアが言い終わると同時に、剣にベットリと着いていたサナリアの血液は次第に剣の中央に集まり出して柄や刀身を彩る紅の飾りと成ってしまった。
ガルゴはあっけにとられながも言われるままに剣を鞘に戻し、二本の剣をサナリアの足元へと持ってきた。
サナリアが剣の側に一歩踏み出る。
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