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パレード2

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緊急召集から十分後、五階広場には、ウロボロスの全部門のトップクラスのメンバーが揃っていた。
新年の祝いの席だってここまでそうそうたるメンバーは揃わない、招集会場は緊迫した空気で満ちていた。
召集をかけた武闘部門総統のゼアスが口を開いた。
「皆、パレード開始直前のこの時に、よく集まってくれた。感謝する。招集でも言った通り、今回の緊急度は『黄土』ウロボロスへの危険は高くないが見習いまでの早急な情報伝達が必要な案件だ。詳しい事は諜報部のクイブが説明する。集中して聞く様に。」
それだけ言うと、クイブと入れ替わって壁際に退いた。
代わりにクイブが広場の中央に歩みでて来た。
「時間が無いのでな、挨拶は抜きだ。結論から言う。ウロボロスのパレードが四大政治組織『金色の螺子こんじきのネジ』の襲撃に合う。奴ら、を破るつもりだ。」
ざわりと、広場の空気が揺れた。
先にも述べた通り、グイネバルドは政情が安定しない国だ。
自分達こそが正当な国政権を持つべき組織だと名乗る組織がいくつも有る、その中でも武力が抜きんでている組織が四つ程ある。先ず建国の国王の直系を名乗る『グイネバルド王国』、次に治世を代々行って来た貴族の末裔を名乗る『公国グイネバルド』、市民主体で選挙制度を求め、ギルドとしても機能している『グイネバルド民主国家』、それから、半ば違法組織化している異常な男尊女卑思考と選民意識文化を持っている、一種、違法魔道ギルドか宗教の様な『金色の螺子』。
金色の螺子は内戦の諍いの中でも、普通の市民を武力勢力のメンバーだのと云いがかりを着けては嬲り殺しにしたり、火炎系魔術を仕掛け、時差で爆発させて時限爆弾変わりにしたりとかなり問題が有る組織だった。
この『ガレイアの春』は内戦が始まって以来、いかなるグループもこの期間だけは武力衝突や行使を行わないという初期の協定を尊守し、協定書にサインしていない後続の組織もこの協定を破った組織は一つたりとも無い。
「その内、何かやらかすだろうと思ってはいたが、まさか『ガレイアの春』の協定を破るとは・・・・。」
まるで当たり前の様にサナリアの隣に落ち着いたガルゴが唸りながら呟いた。
クイブが説明を続けている。
「金色の螺子は最近リーダーが代替わりした。先代の孫だが、先代のカールスは歴代のリーダー達の中でも異常なカリスマ性が有って、一大で組織を倍以上にのし上げた。さしずめ祖父と比較されて焦ったんだろうな。他組織を狙うと袋叩きになるだろうから、全ての組織の目の上のたん瘤で有るウロボロスを狙う事にしいたのだろう。」
「ウロボロスの武力の塊に?魔導士まで参加しているパレードにか?バカなのか?」
誰かが言う。
「まぁ、一般公開所法では行進の時の武闘部門の戦闘服はレプリカだとか武器も威力が低いとか模造刀だとか流しているからな。問題の規模だが・・・」
クイブの話を聞いている全員がクイブに集中した。
「金色の螺子お得意の一般市民に紛れ込んで複数個所での同時襲撃と、大きな攻撃はウロボロス本部への魔術による空からの攻撃だ。金色の螺子は全勢力で来るつもりだ。」
「又、一般市民を巻き込むのか。」
「腹立たしいな、ここで奴らが何か大きな戦果を挙げたら来年から『ガレイアの春』に協定を破る組織が続発するぞ。」
「時間が無いんだ、静かにしろ!」
口々に怒りを露わにするメンバーをゼアスが一括した。
「良いかお前ら。他国の情勢に首を突っ込む事が出来ない俺達だが、かねてより問題視していた金色の螺子が協定を破るなら話は別よ!。なぁ?市民の命を顧みず、協定を破るならばあいつ等はもう政治的組織ではない、すでにその話は他の四大勢力他大小の政治組織すべてに許可を得ている。もし今回金色の螺子が戦闘行動を起こしたら、その瞬間ヤツラは唯の犯罪組織だ。つまり」
ゼアスがニヤリと笑う。
「我々の討伐対象になる。これは危機であると共にチャンスでもある。パレードは行う、ヤツラにウロボロスのパレードを中止させたという戦果を与えるな、来年から模倣組織が出かねん!」
集まった全員の『応!』という声で建物が揺れた。
「但し騎士団の隊列は変更する。騎士団の行進の団の順番は不変、但し隊列は行進用のお綺麗な隊列ではなく、外側を陸行、次に水行遂、飛行隊と続き地層形式の隊列を成形しろ。中心を魔道部門が進め、戦闘に成ったら魔術で支援を。運営部門は全員食中毒による病欠とする。本部に戻り、情報連携の補助、長丁場になった時に備えて物資の状態を確認、本部で寝泊まり等が出来る様整えてくれ、他の支部との連携を図り、緊急援助を直ぐに発信する用意を頼む。中毒の偽装も忘れるな。諜報部門は運営部門の者達を速やかに本部へ送り届けた後、引き続き情報収集活動といざという時一般市民の避難に助力を、身分を隠して行える範囲で良い。他、見習いは通常通り暴力事件や窃盗事件の取り締まりを行う、運営の手が足りない様なら雑務を手伝え。」
見習いや統括、運営の人間がバタバタと出て行った後、サナリアとクイブが同時に手を上げた。

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