魔獣の姫に黒の騎士

鈴紐屋 小説:恋川春撒 絵・漫画:せつ

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アルテミナとガルゴ1

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森の中の研究施設の前に有る、二階建ての家程の大きさの間口の有る洞窟は、サナリアが手を加えて広げたので中も歩行に苦労しない作りになっている。
そこを酒で頬をほんのり赤く染めたサナリアが、ふらり、ふらり、とノンビリ奥へと進んでいた。
途中、狼型の魔獣とすれ違ったが、サナリアは認識疎外の魔法を掛けているし、魔獣の方は何かに酔っているかの様にフラフラとしていて、嗅覚が発達している事で有名な狼型なのに気が着かれずにやり過ごせた。
サナリアも、魔獣の様子がおかしい事を最初から知っていた様で、全く用心しない態度ですれ違った魔獣を振り返りもせず、奥へ奥へと進んで行った。
洞窟の最奥にあるちょっと広めの空洞に着くと、ひたり、とサナリアは足を止めた。
奥の空洞の中は、香りだけでもクラリと来そうなほど濃く、甘い香りが充満していた。
「やぁ、流石はサキュパスの花に次ぐ催淫力と言われるだけあって、エサにはあまり困っていない様だね。」
サナリアが、空洞の中央に居るアメジスト色のスライムに声をかけると、サナリアの息に混じった酒気に誘われたのか、スライムはサナリアに向かってズルズルと移動しながら長い触手を一斉に伸ばして攫った。
洞窟の奥に住んでいたのは、強烈な催淫性の有る体液のスライム、通称『紫スライム』と言われている、大き目のダブルベッド程の大きさもあるスライムだった。
そのままスライムに飲み込まれたサナリアは、スライムに体中を舐めまわされ、触手に弄られる感触を感じながら目を閉じた。
スライムの体液が体にゆっくりと皮膚吸収され始め、体が快感にだけ敏感に成って来る。
スライムの肉に押し上げられて、サナリアの体がスライムの体内を漂い、服の隙間から入り込んだ大小様々な触手は不規則的にサナリアの体の表面や、穴に入り込んでサナリアの体を貪り出した。
紫スライム独特の体液が酒に酔ったサナリアを更に酔わせ、サナリアの淫らな欲望を呼び起こす。後ろの蜜胎にひと際太い触手がズップリと入り込み、硬く勃起した前の下枝の穴を極細の触手が激しく抜き差しを開始した。
「ひっ・・・ぁあ・・・ぅんぁっ・・・・!。」
サナリアの腰が勝手に前後したかと思うとあっという間に跳ね、下枝から白濁が触手の合間を縫って染み出すと、更に数本細い触手がサナリアの下枝の道を激しく犯して中に残る精液を貪っている。
「・・・あっ・・あっ・・・ダメっ・・・。」
次第に、スライムの強烈な催淫性のある体液に意識を犯されたサナリアの表情は、トロリと溶けて虚ろになり、あられもない恰好で、自らの手で自身を慰め、悶え始めた。

      ◆

一方、岩肌の丘を目指したガルゴは、丘の周辺をぐるりと回った所で洞窟の穴を見つけたが、顔を顰めて洞窟の奥を睨んだ。
「良くない匂いがするな。」
洞窟からは、生物を匂いと幻覚で惑わせて食らう植物模擬魔獣『サキュパスの花』によく似た匂いが漂ってきていた。
サキュパスの花は風も光も通りが良い所に生息するハズだが、もしや洞窟の奥がサキュパスの花の生息に適した環境になっているのだろうか?。
確認すべきか悩んだが、こんな奥地のさらに洞窟の奥なんて人間が滅多に来ない所、このタイミングで急いで一人で調査すべきでは無いだろうと判断して洞窟の入り口に背を向けた。
一歩踏み出して、今夜のネグラを見つけられなければ野宿だなと覚悟を決めようとした時だった。
ガルゴの鼻が、嗅ぎ慣れたサナリアの匂いを嗅ぎつけた。
匂いは未だ新しく、しかも洞窟に向かうほどに匂いの新鮮さは増しているではないか、それは、つまりサナリアが洞窟に入って行った事を示していた。
「アルテミナ!」
ガルゴは一声サナリアの名前を叫んで洞窟の奥へと急いだ。

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