魔獣の姫に黒の騎士

鈴紐屋 小説:恋川春撒 絵・漫画:せつ

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黒豹の腹の毛は3

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不思議そうな顔をする二人に構わずガルゴはさっさとサナリアの所に向かった。
アルテミナ研究員に部下の非礼を詫びに行かなければ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、彼はああ見えて魔道部門の古参だ、数々の研究結果は施設維持の為の莫大な資金をたたき出しているし、武闘部門の隊員達が愛用している武具やサバイバル用品の中にアルテミナが開発に関わっていた物も少なくない。
特別研究室まで持っており、実は無理やり武闘部門と魔導部門の階級を総比すると、機関内のサナリアの地位はガルゴと同等かそれ以上なのだ、という事は騎士団のルールを当てはめるならばライジとイスタにとって、サナリアは敬礼をしなければならない相手という事になる。二人は敬礼どころか挨拶すらしなかった。
本人が本人なので誰も意識していないが・・・・・・。
ガルゴだってサナリアの地位がそんなに高いなんて最近知った。
ガルゴがサナリアの前に立つと、予想通りサナリアは面倒そうに片頬をゆがめた。
「ここ、良いか?」
ガルゴが己の昼食が載ったトレーをアルテミナの向かいの席に置きながら声を掛けると。
チラリとガルゴの姿を確認したサラリがが『未だ何か?』っと昼食を掻き込み咀嚼する手も口も休ませずに言った。
否と言われなかったのでまぁダメでは無いのだろうと勝手に解釈して腰を下ろす。
「さっきは部下が敬礼もせず失礼したな」
開口一番詫びるとサナリアは一層嫌そうな顔をした。
「戦闘部門のルールを私に押し付けないでもらおうか。魔道部門に機関の役職の差異による敬礼の義務はない」
「まぁ・・・半分位は口実だ。ちょっと近々一人でお前の庭と化してるあの森に行こうと思ってるんだが許可が必要なのか確認したくて」
「必要無いですよ。あそこはウロボロスの所有地ではない、グイネバルドの主要団体から許可を得ていくばくかの研究棟を建て、採取や実験してるだけだ。魔獣討伐でもするつもりですか?」
「いや、だが何日か滞在するつもりではある」
「なら、無暗に魔獣を殺さない様お願いします。あそこには魔獣研究の為に放し飼いにしている魔獣もいるので。それから、魔法でも物理的にでも隠してある建物には近づかない様に、普通に危険です。十中八九違法団体の魔獣狩の罠か魔導研究部門の誰かの実験用の何かです。最悪命を落とします」
「お、おぅ・・・分かった」
いつの間に平らげたのか、もう食べ終わったサナリアがガタリと席を立つ。
「次からは、そういった事は魔道部門の総合事務所に問い合わせて下さい。では・・・・」
「あ、あのよ。午後・・・研究室行っても良いか?」
ガルゴはさっさとガルゴを置いて席を立つサナリアに寂しさを覚えて一生懸命話題を探し、話しかける。
サナリアは溜息を一つ着いて答えた。
「今日の研究室は午後は休みです」
「・・・・・・・・そうか・・・・」
しょぼくれる大きな男を呆れながら見つめてポロリとサナリアが呟いた。
「全く・・・熊程でかい癖にあの子とは偉い違いだ・・・・」
ガルゴはその言葉を聞き逃さなかった。
「・・・・今、俺を誰と比べた?」
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