壊れた玩具と伝説の狼

壊れた玩具と伝説の狼 フィナーレ９

暇つぶしで練習だから、簡単で、あまり魔力を使わず威力も弱い物が良い。
魔法は魔術を使って起こせる現象の事、魔術をは魔法を行使する技術や方法の事を指す。
例えば、ファイヤーボールそのものを魔法と言い、ファイヤーボールを作り出す為の行動を魔術と言う。
セイラは少しの間考えて、ポツリと言った。
「土系かな。初級の」
土系の魔法は、魔力を最も消費しない魔法の代表各だ。
泥団子を作るとか、砂場で砂の山を作るとか、その砂の山にトンネルを作るとか、本当になんの役にも立たない魔法しかなく、魔術の魔力の流れをコントロールするという鍛錬にはうってつけの魔法だった。
洞窟内に砂場は無いので泥団子を作る魔法を延々とした。
二年も使っていなかったため、その泥団子ですらまともに作れず、もっと退屈な暇つぶしになるかと思いきや、セイラは意外と練習に夢中になっていた。
マヤが帰って来る頃には、洞窟の隅に大小色んな形の壁に積みあがった泥団子と、魔術を使い過ぎて動けなくなっているセイラが出来上がっていた。
「・・・何をしていたんだセイラ？」
「魔術の練習、そういえば、僕一応少しは使えたんだったと思い出して土系の初級なら失敗しても危なくないからいいかなと」
「しかし頑張ったな」
アヤは壁に積みあがったいくつあるのか数えるのも面倒くさい大量の泥団子を眺めて言った。
「魔力消費の低いこの魔法で魔力枯渇を起こす位だからね、ははは」
「またやるのか？」
「アヤが見回りに行っている間、僕なにもする事が無いんだよ。次は枯渇は起こさないよ」
「じゃぁ作った泥団子集めて風呂かか釜戸かまどでも作るか」
「何それ素敵、お風呂欲しいなと思ってたんだよね」