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壊れた玩具と伝説の狼1ー1
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夕日が山間に差し掛かり、辺りが一層暗くなった頃、アヤは温泉の中から慣れた気配を感じ取って目を覚ました。
湖の主、『海月』が温泉の中からゆっくりと姿を現した。
「先ぶれをよこさねぇか、デバガメ根性はいつか命取りになるぞ」
「何だよ、せっかく私自らサンプル取りに来てあげたのにそれは無いんじゃないかな!?」
甘い時間を邪魔されたアヤが不機嫌に出迎えると、海月はプリプリと怒ったフリをしながら二人に歩み寄った。
二人の会話を聞いて、眠っていたセイラも遅ればせながら目を覚ました。
「なに?アヤ、どうかしたの?・・・海月さん!」
疲れ果てて、裸のまま眠っていたセイラは、慌ててアヤの尻尾で身体を隠した。
突然尻尾を掴まれても、アヤは抗いもせず、面白そうにセイラを見つめるだけだった。
「羨ましい位中が良いね、君達」
海月が半ば呆れて言った。
「あの、服着るんで、ちょっと向こう向いてて下さい」
「別に気にしなくて良いのに、私は狼の番に手を出すほど命知らずじゃないよ。コイツラのただ一人に対する執着心は人を呪い殺せるレベルだからね」
アヤの尻尾で体を隠すセイラを、海月は舐めるように見ながら言った。
本当の事なんだろうが、海月の節操の無さを昨夜目の当たりにしている二人にとっては全然説得力が感じられなかった。
それに、海月はセイラを好みじゃないとは、一言も言っていない。
「分かってるならさっさと向こうを向け」
二人のやり取りに痺れを切らし、睨みを効かせた目をしたアヤが唸り声と共に言い放った。
湖の主、『海月』が温泉の中からゆっくりと姿を現した。
「先ぶれをよこさねぇか、デバガメ根性はいつか命取りになるぞ」
「何だよ、せっかく私自らサンプル取りに来てあげたのにそれは無いんじゃないかな!?」
甘い時間を邪魔されたアヤが不機嫌に出迎えると、海月はプリプリと怒ったフリをしながら二人に歩み寄った。
二人の会話を聞いて、眠っていたセイラも遅ればせながら目を覚ました。
「なに?アヤ、どうかしたの?・・・海月さん!」
疲れ果てて、裸のまま眠っていたセイラは、慌ててアヤの尻尾で身体を隠した。
突然尻尾を掴まれても、アヤは抗いもせず、面白そうにセイラを見つめるだけだった。
「羨ましい位中が良いね、君達」
海月が半ば呆れて言った。
「あの、服着るんで、ちょっと向こう向いてて下さい」
「別に気にしなくて良いのに、私は狼の番に手を出すほど命知らずじゃないよ。コイツラのただ一人に対する執着心は人を呪い殺せるレベルだからね」
アヤの尻尾で体を隠すセイラを、海月は舐めるように見ながら言った。
本当の事なんだろうが、海月の節操の無さを昨夜目の当たりにしている二人にとっては全然説得力が感じられなかった。
それに、海月はセイラを好みじゃないとは、一言も言っていない。
「分かってるならさっさと向こうを向け」
二人のやり取りに痺れを切らし、睨みを効かせた目をしたアヤが唸り声と共に言い放った。
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