壊れた玩具と伝説の狼

鈴紐屋 小説:恋川春撒 絵・漫画:せつ

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春のススキと白い息2ー12

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ダイヤスの屋敷に繋がれていた時の感覚。
(特に最後の二年間に似ている)
死を切望していたあの時に、あと少しで終末が訪れると歓喜したあの瞬間が一番近い。
ゲェっと、酷い濁音と共に、セイラはいきなり飲んだばかりの水を吐いた。
「セイラ!」
アヤが慌てセイラの名前を口にしたが、どうする事も出来ない。
最後の二年間に似ている、そう思い付いたとたん、いきなり吐き気に襲われて一気にえづいた。
胃の中は空っぽだったらしく、水を吐いてしまえば出すものが無く、ゲェゲェと言う濁音を立てながら空気を吐く羽目になった。
ただでさえ血の気が引いていたのに、セイラの体はさらに体温が下がって、体の震えも酷くなった。
カタカタと震えながら、すがる様な目でアヤを見つめ、首を不器用に振った。
「何も無い、何もなかった。何なんだ!何なんだよ!あれはっ。孤独どころじゃないじゃないか!」
頭をかきむしろうとして、アヤに止められた。
「セイラ、落ち着け」
なだめるアヤを、セイラはメチャクチャに叩いた。
「嘘つきアヤ!何が孤独だ!あんなもの!孤独なんかじゃないじゃないか!あれは『無』だ!何にもない!何にも無いじゃないか!あんっ、あんなもの!あんなものっ」
「あぁ、こらこら、鼻先を叩くな!反射で噛んだらどうしてくれるんだ」
ベチベチと、でたらめに叩いて暴れるセイラを、アヤが仕方なく転がして前足で押さえつけた。
セイラは、押さえつけられた後も少し暴れたが、そのうち疲れて大人しくなった。
ボタボタと涙がこぼれた。
「何てモノを僕の中に作ってくれたんだ」
視界が涙で歪んでアヤの困り顔が見えなくなった。
体についた汚れが気持ち悪かった。
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