124 / 218
春のススキと白い息1-2
しおりを挟む
セイラは膝まで浸かった両足をゆらゆらと動かしながら、暫くアヤに寄りかかってぼんやり景色を眺めた。
「ふふふ、くらくらする」
温泉で温まったセイラの体内では、いつにも増して溜まり込んだ薬物が溶けだしていた。
服の下のセイラの胸の尖りは既にプクリと硬く尖って、しっかりとした刺激を待ちわびている。
「ふぅ」
セイラはアヤにもたれたまま、甘い吐息を吐き出した。
ぼんやりと前を見ると、洞窟の入り口にはアヤの群れの狼達が休んでいるのが湯気の隙間から見えた。
体の大きさはアヤの半分も無いが、鋼色の毛皮にススキ色のアンダーファーはアヤと同じだ。
(この景色、何だかどこかで見た事有る気がする)
強かに薬に酔ったセイラの脳裏に、うっすらと揺れるススキが思い描かれた。
あれは、いつの事だったか。
(こんなに湯気は無かった、それから)
寒かった。それに、『あはっ、ぁっ。お前、どこの・・・・なの?』誰か自分以外に居た。
「セイラ?」
セイラが記憶をたどるのに夢中になっていると、突然大人しくなったセイラを心配して、アヤがセイラの顔を覗き込んで来た。
薬で酔ったセイラの頭では上手い説明が思い付けず、ヘラリと笑ってごまかした。
集中が途切れれば意識は現実に戻り、慣れた薬物による酩酊がセイラの心に悪夢を蘇らせる。暗い湯の中に自分の足首を掴み上げて、無理やり割開く男達の姿が見えた。
(分かってる。これは記憶の見せる幻だ)
他の事を思い起こして幻影を消そうと目をつぶっても、六年もの間ダイヤスの屋敷に囚われていたセイラの記憶には、凌辱と虐待の日々の記憶しか無くて、悪夢が増えるだけだ。
「セイラ」
鳩尾に響く様な低音で、アヤがセイラをもう一度呼んだ。
「ふふふ、くらくらする」
温泉で温まったセイラの体内では、いつにも増して溜まり込んだ薬物が溶けだしていた。
服の下のセイラの胸の尖りは既にプクリと硬く尖って、しっかりとした刺激を待ちわびている。
「ふぅ」
セイラはアヤにもたれたまま、甘い吐息を吐き出した。
ぼんやりと前を見ると、洞窟の入り口にはアヤの群れの狼達が休んでいるのが湯気の隙間から見えた。
体の大きさはアヤの半分も無いが、鋼色の毛皮にススキ色のアンダーファーはアヤと同じだ。
(この景色、何だかどこかで見た事有る気がする)
強かに薬に酔ったセイラの脳裏に、うっすらと揺れるススキが思い描かれた。
あれは、いつの事だったか。
(こんなに湯気は無かった、それから)
寒かった。それに、『あはっ、ぁっ。お前、どこの・・・・なの?』誰か自分以外に居た。
「セイラ?」
セイラが記憶をたどるのに夢中になっていると、突然大人しくなったセイラを心配して、アヤがセイラの顔を覗き込んで来た。
薬で酔ったセイラの頭では上手い説明が思い付けず、ヘラリと笑ってごまかした。
集中が途切れれば意識は現実に戻り、慣れた薬物による酩酊がセイラの心に悪夢を蘇らせる。暗い湯の中に自分の足首を掴み上げて、無理やり割開く男達の姿が見えた。
(分かってる。これは記憶の見せる幻だ)
他の事を思い起こして幻影を消そうと目をつぶっても、六年もの間ダイヤスの屋敷に囚われていたセイラの記憶には、凌辱と虐待の日々の記憶しか無くて、悪夢が増えるだけだ。
「セイラ」
鳩尾に響く様な低音で、アヤがセイラをもう一度呼んだ。
0
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる