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人食い湖の住人3-3

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「あーあ。直接内蔵を見た方が色々分かるのに、脳は新陳代謝がほぼ無いから直接みないと分からないんだよ?
 仕方ないな。髪の毛二、三本抜いて、せっかくだからその汗と、あと尿も頂戴、日にちを分けて何回か。
 丁度良いから汗は今かいたヤツで良いや、後でまたもらうかも知れないけど。
 尿を採取する前の日の夜は水以外の物を口にしちゃダメだよ。
 一回でいいから血は取れる?良ければ精子も調べるよ」
海月は、軽口を叩きながらガラスのグラスがいくつか入った籠をアヤに差し出した。
「あい、分かった」
アヤは籠を受け取るとセイラに持たせた。
籠の中のグラスがカシャカシャと華奢な音を立てた。
「セイラ、汗だけそのグラスに取れるか?」
「多分」
セイラがグラスのふちで汗を何度かこそぐ様にすくうと、小指の爪位の量の汗が取れた。
そのグラスをセイラが前に差し出し、海月が細い触手を伸ばして器用にさっとさらう様に持って行った。
治癒の魔法に卓越しているとアヤが言うだけあって、何のかんの言ってもセイラを気使っているのだろう。
セイラの方も、海月の態度から先ほどの様な自分の中に侵入しようとする意志を感じなかったせいか、アヤが守ってくれていたせいか、さっきの様な強烈な拒絶感は感じなかった。
(良かった。失礼を働く様な事にならなくて)
海月は、内心ほっとしているセイラには目もくれないで、手に入れたセイラの汗が入ったグラスを熱心に観察した後、小指から細い触手を出してその汗に浸した。
海月の唇が微かに笑みの形を作ったかと思うと、海月の体、つまり宮殿全体がフワリと発光し始めた。
海月が何か魔法を使い始めたのだ。
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