101 / 223
人食い湖の住人2-6
しおりを挟む
「あのさ、僕着る物が無いんだけど、裸を見られるのは狼的に良いの?」
セイラがそう言うや否や、アヤの瞳がふわりと光を放つと、セイラの体を細い蔦が覆い、一着の服の様な形になった。
植物の芽の様な、瑞々しい色のボトムにシャツは、植物で出来ているからだろう、ほてったセイラの体を心地よく冷やした。
「良いワケ無いだろう。温泉にもそのまま入れるからな」
フン!と、満足そうに一回鼻から勢いよく息を噴出したアヤが、強気に言った。
「あの、こんな事出来るなら全裸で居させないで最初からして欲しかったかな」
セイラは腕を上げたり足を上げたりしてアヤが作ってくれた蔦の服を確かめながらちょっと抗議したが
「何を言う、蔦で出来た服なんかずっと着てたら体温下がり過ぎて風邪をひいてしまうでは無いか」
セイラの抗議はあっさりアヤに一蹴されてしまった。
蔦の服は何だかツルツルしてて、不思議な着心地だった。
湖にはアヤの背中に乗って向かった。
走るアヤの後ろを、黒鉄色の狼たちが十数匹、いつの間にか走って着いて来ていた。
(洞窟を出たばかりの時には居なかったのに・・・・)
セイラが振り向いて見つめていると、アヤが不機嫌そうに喉を鳴らした。
「何が気になっているんだ?」
珍しくドスの効いた声が聞こえて来た。
「ふはははっ。ごめん、誤解しないで、洞窟出た時は何もいなかったのにどこから出て来たんだろうと思って不思議がってただけなんだ」
セイラは慌てて言い訳したけれど、アヤのそんな些細な事まで気にする様子が酷く可愛いと思った。
セイラはそのままもう後ろは見ないでアヤの背中に倒れ込み、大きな背中に全身で捕まった。
「僕、ちゃんとアヤが好きだよ」
『僕はね』っという言葉は飲み込んだ。
だって、もう、セイラにとってセイラがアヤの番いの偽物だという事は、出来うる限り秘密にしておきたい事になってしまったから。
セイラがそう言うや否や、アヤの瞳がふわりと光を放つと、セイラの体を細い蔦が覆い、一着の服の様な形になった。
植物の芽の様な、瑞々しい色のボトムにシャツは、植物で出来ているからだろう、ほてったセイラの体を心地よく冷やした。
「良いワケ無いだろう。温泉にもそのまま入れるからな」
フン!と、満足そうに一回鼻から勢いよく息を噴出したアヤが、強気に言った。
「あの、こんな事出来るなら全裸で居させないで最初からして欲しかったかな」
セイラは腕を上げたり足を上げたりしてアヤが作ってくれた蔦の服を確かめながらちょっと抗議したが
「何を言う、蔦で出来た服なんかずっと着てたら体温下がり過ぎて風邪をひいてしまうでは無いか」
セイラの抗議はあっさりアヤに一蹴されてしまった。
蔦の服は何だかツルツルしてて、不思議な着心地だった。
湖にはアヤの背中に乗って向かった。
走るアヤの後ろを、黒鉄色の狼たちが十数匹、いつの間にか走って着いて来ていた。
(洞窟を出たばかりの時には居なかったのに・・・・)
セイラが振り向いて見つめていると、アヤが不機嫌そうに喉を鳴らした。
「何が気になっているんだ?」
珍しくドスの効いた声が聞こえて来た。
「ふはははっ。ごめん、誤解しないで、洞窟出た時は何もいなかったのにどこから出て来たんだろうと思って不思議がってただけなんだ」
セイラは慌てて言い訳したけれど、アヤのそんな些細な事まで気にする様子が酷く可愛いと思った。
セイラはそのままもう後ろは見ないでアヤの背中に倒れ込み、大きな背中に全身で捕まった。
「僕、ちゃんとアヤが好きだよ」
『僕はね』っという言葉は飲み込んだ。
だって、もう、セイラにとってセイラがアヤの番いの偽物だという事は、出来うる限り秘密にしておきたい事になってしまったから。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説



久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…




塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる