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人食い湖の住人2ー1

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ふわふわと楽しげに揺れていたアヤの尻尾がピタリと止まって、きゅっと締まった表情に変わった。
そしてアヤはセイラに改めて尋ねた。
「今、『アヤの番』と言ったな。『狼の番』でも『山の主の番』でもなく」
「言ったよ。僕、アヤと番になりたい。アヤの番になりたい」
だってセイラは別に狼なら何でも良い、山の主なら何でもいいというワケではない、セイラを助け、セイラを拾い、今日まで甲斐甲斐しく面倒をみてくれたアヤだからたとえ『狼』でも、何かよく分からない『山の主』とやらでも良いから番いになりたいと思った。
セイラが真っすぐアヤの瞳を見据え、きっぱりと『アヤの番いになりたい』と言うと、アヤは愉快そうな笑顔を作って『上等だ!』っと言った。
「ならば強請れ、エサを」
そして、思わせぶりに不思議な事を言い出した。
「エサ?」
セイラは小首を傾げた。
だって食べ物なら毎日アヤから貰っている。
アヤはセイラが混乱する事も分かっていた様で、丁寧に説明し出した。
「そうさ、獣の求愛は古来から獲物の献上と決まっている。乞われてもいないのに捧げたら求愛、それを受け取れば承諾、今俺達の関係はここだ。
 そして、次に同じ相手にエサを強請れば番いの申し込み、そのエサを強請られた側が用意できて、それを相手が受け取れば番の成立だ。
 言葉にすると面倒だが、手順は簡単さ」
「ごはんならいつもアヤに貰っているよ?」
多分そういう事じゃ無いのだろうとは分かっていたが、他に聞き方も思いつかなかったので、セイラは素直にアヤに聞いた。
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