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伝説の狼1-9

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「忘れるも何も、僕は狼に知り合いなんて居ないよ」
あまりにジロジロ見られるのが居心地が悪くて、言い返したけれど、狼は逆に更に驚いた。
「知り合い!?仮にも番いになる約束までOKしたくせに!?」
「いや、それ、本当に分からない、何で僕が狼なんて獣と番いの約束なんかするんだよ」
そう言うと、大きな狼は若干泣きそうな顔になって、セイラからぷいっと視線を外すと、拗ねて寝たふりを決め込んでしまった。
「え、ちょっと。僕が悪いの?!」
戸惑うセイラを無視して、目を瞑りまったく返事をしてくれなくなってしまった。
「もう、何なんだよ。わけわからない」
生きているのが奇跡な位やせ細ったセイラもこの狼との掛け合いですっかり疲れてしまって、座っている事も出来ず、ベッドに寝ころんで眠る用意をした。
ふと、未だ狼の名前を聞いてない事を思い出した。
「ねぇ、狼」
名前を聞こうと思って声を掛けたが、拗ねた狼は耳をピクつかせるだけで返事をしない。
耳が動いているという事は、話は聞いていると考えて良いんだろう。
セイラは構わず問いかけた。
今は返事を返してくれなくても、もし機嫌が直れば直った時にでも答えを返してくれるだろうと思った。
「名前、何て言うの?」
「・・・・・・アヤ」
意外な事に、返事は直ぐ来た。
「可愛い名前だね」
すかさず褒めたけれど、狼の・・・アヤの機嫌は直らなかった。
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