壊れた玩具と伝説の狼

鈴紐屋 小説:恋川春撒 絵・漫画:せつ

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伝説の狼1-8

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「確かに変わり果てた姿は驚いたが、っというか、やっと見つけたと思ったら他の男に追いかけ回されているわ、死にかけているわで肝が冷えたしな。惚れた弱みだ、しょうがなかろう。世界中どこを探したって、セイラは一人しかいない、体はこれからいくらでも癒せば良い。これからはずっと一緒だからな」
狼がまたベロリとセイラの体を舐めた。
涙で濡れた顔も、ベロベロと舐められた。
舐められた所からジワリと優しい熱が入って来た。
乾きかけた、涙で引きつっていた頬が綺麗になってちょっと緩む。
(変わり果てた姿、やっと見つけた。惚れた弱み?)
「よく分からない」
何でこの狼は、まるでボロボロになる前のセイラを知っている様な事を言うのだろう?
「何が?」
よく分からないと言うセイラに、狼が逆に問いかけた。
「まるで、ずっと前から僕を知っていたみたいな事を言うから。僕達が出会ったのは昨日じゃないか」
そう言うと、狼はベッドに顎を着けてくつろいでいた狼が顔を上げてセイラを見て、ちょっと情けない顔になった。
「セイラ、お前、ひょっとして、俺の事忘れてる?」
狼はそんな事を言い出した。
忘れてるとはどういう事か、セイラは生まれてこの方、こんな大きな狼に出会った事なんて一度たりともない。
たとえ、遠くから見ただけでも、こんな物見たら一生忘れないだろう。
「忘れるも何も、僕と狼が出会ったのは昨日が初めてじゃないか」
そう言ったとたん、狼の口は顎が外れたのかと思う程勢いよくガグンと開いた。
「忘れてる!」
そう一言大きな声で言って、穴が空くかと思う程、セイラを見つめた。
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