壊れた玩具と伝説の狼

悪夢２－２

「失恋には新しい恋が一番の特効薬よ！」
そう言って、一枚の、一見客お断りのバーのチケットをくれた。
恋人を探す客が集まる特殊なバーだった。
最初の入店はチケットを持っていないと店事態が見つからない特殊な魔法が掛けられていた。
恋人を探す者達が集まるバーなんて他にいくらでも有るのに何でそんな面倒な事をしているのかと思ったが、店に通う様になってやっと気が着いた。
その店は、恋人探し目的の他に、売春相手を探している者が多くいたのだ。
セイラの国では売春は犯罪だ。
店の中で公然と卑猥な行為が繰り広げられている事も多かった。
テーブルシートは殆どそういう客が使う為にあり、独りで来ているセイラみたいなノーマルな一般客は店員と向かい合わせのカウンターや立ち席に陣取る決まりだった。
安全な席から見る卑猥なショーは初心なセイラの興味をそそり、セイラはすんなり常連客となってしまった。
初回チケットの出元がヤシダだと知ったのはバーに通う様になって二か月も経った後だった。
その時、行くのを止めておけばもしかしたらこんな事にはならなかったのかも知れない、あるいはすっかり自分の判断力に自身を失くしたセイラが
(もしかしたら、今まで自分には合わないと思っていた相手こそピッタリの相手なのかも知れない)
そんな馬鹿な考えを持たなければ、こんな事には成らなかったのかも知れない。
バーに通う様になって半年位経った頃、セイラは一人の男と出会った。