スイート・スパイシースイート

first bite２−２

不用意に辞めさせて再就職先で問題でもまた起こされたら、今度は会社間での因縁の原因に成りかねない。
その人物はチーム内であたりさわりの無い業務を与えられながら、一人仕事を行っている。
精神崩壊はある日突然来る事が多い。
琢美だって、いつそうなるかと内心自分を疑う毎日を過ごしている。
常に自分の中の自分と対峙して、これはやって良い事なのか、ダメな事なのか見落としは無いか、まだ研究し零している事は無いか、マネージメントが自分の業務になってからは殊更考える様になった。
自分の見落とし一つで、工場を含めた全社内、サプライヤー、販売店、さらにはその先の人間達の暮らしに影響が及ぶ、そこに気が付いた時、愕然とした。
一体、自分の背中には何人の人間の生活がのしかかっているのだろうかと、ぞっとした。
誰がプレッシャーをかけてくるでもない、状況が、経済のつながりその物が自分達の精神を追い込んでくる。
それが、誰もが羨む花形部門に配属された琢美達に課せられた十字架だ。
分からなければ楽なのかも知れないけれど、それに気が付かない程度の思考能力しかない者は、琢美達の着く仕事を行う資格は無い。
人事の動きを見ているとそう思わざる負えない、皆分かった上でそれぞれの役割を毎日全うしている。皆必死だ。
分かった上で、自分の役割を全うできている人間だけが生き残れる。
琢美の働く世界はそういう世界だ。
そんな日々のストレスも琢美は裕一郎を抱くことで解消している所があった。
日々、悲鳴を上げる自身の心の軋みを、琢美は裕一郎を犯す事で発散させている。
自覚はある。褒められた事では無い事も分かっている。