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chocolate with sunrise 4-5

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俺の父親はクソだけど、琢美の父親みたいな化け物ではない、琢美の父親、あれは、全くの異質なものだ。
いくらなんでも、あの藤川一郎みたいな化け物相手に、子供の俺が、何が出来たとも思えねぇ。でも、それでも思わずにはいられないかった。
もっと早く出会ってやれていたら、琢美をこんなにズタズタになんかさせなかったのに。 
「・・・っ」
そんで、涙が出た。
「ん?裕ちゃん?」
ごめっごめん
本当は俺が泣く資格なんか無い、あんな家に一人で返してヤバくなったら逃げて来いだなんて、今考えたら他にやり様なんていくらでもあった。
泣いて良いのは、本当は琢美なのに、悔しくて、どうにもならない過去が悔しくて。
今だったら、いくらでも助けてやれるのに、そう思うと悔しくて、俺はあろう事か琢美に抱きついた。
抱き締めたつもりだったケド、体格差でどうにも抱きついてる状態にしかならなかった。
「ごめん」
泣きながら謝った。
「裕ちゃん?」
ワケが分からないのは琢美の方だ。
甘い雰囲気で、これからセックスしようって盛り上がってたら、いきなり恋人がガチ泣きし始めたんだから驚いただろう。
「なんか、繋がって、俺の中で、全部繋がって、お前、琢美じゃんか」
ぎゅうぎゅう抱きつきながら、俺は、また、要領を得ない言い訳をし始めた。
それでも、長年の付き合いのせいか何か伝わったのか、察してくれたのか、琢美は少し笑って、俺を抱き締め直してくれた。
「そうだよ、琢は、琢美だったんだよ」
おまけに背中までポンポンされた。
「俺がっ俺がもっと早くにお前と出会ってたら」
そう言ったとたん、琢美は俺の背中を撫でるのを止めた。
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