214 / 410
true taste 1ー2
しおりを挟む
タクシーが俺達の部屋に近づくにつれて、俺の心臓の音は早くなっていっている気がした。
舞い上がり過ぎない様に内心自分で自分を叱咤した。
なんと言っても捕まったのは琢美の父親なのだ。
いくら憎い父親だったとしても、生きている唯一の肉親が殺人罪で逮捕されてしまった琢美の気持ちは俺でも予想出来ない。
残虐非道の憎い奴が、やっと裁かれるべき罪で逮捕されたと喜ぶだろうか、それともいくら虐待されていたからと言っても、たった一人の父親が逮捕されたのだから嘆くだろうか?
ちらりと琢美の様子をうかがうと、琢美は相変わらずタクシーの窓から無表情で外を眺めていた。
俺が琢美の方を見たのが分かったのか、絡めた手だけが握り直された。
声をかける雰囲気じゃない気がして、俺もまた窓の外へ視線を移した。
外を見ると、タクシーはもう家の近くを走っていて、見慣れた風景が広がっていた。
タクシーが静かに俺達の住むマンションの前に停まり、ドアが開いた。
運転手にお礼を言って車を降りると、後に続いて琢美が降りてきた。
座っている時はそこまでの大差は無いのに、隣に立たれると、途端に俺の目線は上を向く。
まるでキスをねだっているみたいだなと、我ながら思った。
目が合うと琢美の手が俺の腰にスルリと巻きついて、俺の体は簡単に抱き寄せられた。
「琢美?」
人前でこんな大胆な事するヤツじゃ無いから少し驚いて、手の動きを追っていた視線を琢美に戻すと、そのタイミングでキスされた。
ビックリして動けなくなっていると、琢美がふわりと笑いながら言った。
「無茶な体制でさせちゃいましたね。大丈夫?」
警察署のトイレの個室での一件の事を言われたんだと分かって一気に頬っぺたが熱くなった。
舞い上がり過ぎない様に内心自分で自分を叱咤した。
なんと言っても捕まったのは琢美の父親なのだ。
いくら憎い父親だったとしても、生きている唯一の肉親が殺人罪で逮捕されてしまった琢美の気持ちは俺でも予想出来ない。
残虐非道の憎い奴が、やっと裁かれるべき罪で逮捕されたと喜ぶだろうか、それともいくら虐待されていたからと言っても、たった一人の父親が逮捕されたのだから嘆くだろうか?
ちらりと琢美の様子をうかがうと、琢美は相変わらずタクシーの窓から無表情で外を眺めていた。
俺が琢美の方を見たのが分かったのか、絡めた手だけが握り直された。
声をかける雰囲気じゃない気がして、俺もまた窓の外へ視線を移した。
外を見ると、タクシーはもう家の近くを走っていて、見慣れた風景が広がっていた。
タクシーが静かに俺達の住むマンションの前に停まり、ドアが開いた。
運転手にお礼を言って車を降りると、後に続いて琢美が降りてきた。
座っている時はそこまでの大差は無いのに、隣に立たれると、途端に俺の目線は上を向く。
まるでキスをねだっているみたいだなと、我ながら思った。
目が合うと琢美の手が俺の腰にスルリと巻きついて、俺の体は簡単に抱き寄せられた。
「琢美?」
人前でこんな大胆な事するヤツじゃ無いから少し驚いて、手の動きを追っていた視線を琢美に戻すと、そのタイミングでキスされた。
ビックリして動けなくなっていると、琢美がふわりと笑いながら言った。
「無茶な体制でさせちゃいましたね。大丈夫?」
警察署のトイレの個室での一件の事を言われたんだと分かって一気に頬っぺたが熱くなった。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる