スイート・スパイシースイート

time salty dog １ー５

「文字通りサイコパスは生まれつきでソシオパスは育った環境が要因でサイコパス化した奴の事さ。最も、正式な線引きの規格はねぇらしいがな。だが、素人の俺でも目に付く大きな違いが一つある。犯行時の感情の動きさ、サイコパスが犯罪を犯す時、劇的な感情の変化はねぇがソシオパスはヒステリックな衝動が起因だ。世の中でサイコパスって言われてる犯罪者の殆どは俺はソシオパスだと思っている。藤川一郎は、楽しそうに琢美ちゃんに暴力を振るっていただろう？奴が本物のサイコパスならば、そんな感情の起伏は起きない、何より琢美ちゃんを生かしたりしない、確かに強いサイコパスの素養も見えるが、あれはソシオパスだ。まともな脳みそ持ってる癖に自ら闇に落ちた正真正銘のバカだよ！クソ恥知らずが！」
いつもヒョウヒョウとしている高岡刑事が珍しく吐き捨てる様に言い放った。
余程、琢美の父親と話して嫌な思いでもしたのだろう。
高岡刑事がタバコを取り出して、ちょっと考えてから言った。
「鈴木久美な、売春や違法薬物の売人してたんだ。殺人とは言え、アイツ執行猶予が何年か付いて普通の殺人より早く出て来るかも知れねぇ」
そう言って、取り出したタバコをポケットに仕舞い直すと、自分が空けた缶コーヒーを一気に飲み干して
「喫煙所言って来るわ」
と言って席を立った。
「『凶神』様も帰って良いぞ、事情聴取は済んだんだろう」
え？良いの？っと最初に話していた刑事を見ると、異論は無いらしくコクリと頷いた。
「だから『凶神』言うなって」
記録を取っていた刑事が録音機のスイッチを止めて、ノートを閉じた。