スイート・スパイシースイート

time salty dog １－３

「別に嫌なんて言ってないですよ、驚いただけです。何がどうなってんすか？」
『いや、だって俺暴行罪じゃねぇの？』っと言おうとした所で刑事は片手を挙げて俺の言葉を止めた。
刑事はチラリと記録を録っている同席している刑事を見た。
そして、後は何も言わせないとでも言う様にまくしたて始めた。
「いやぁ！本当に今回は俺達の警備不足で佐藤さん達にはご迷惑をおかけして申し訳なかったです。怖かったでしょう、凶悪殺人犯にお店に来られて。あまつさえ、犯人逮捕にまで貢献して頂けるとは、刑事一同、恐縮と感謝の極みですわ」
――犯人逮捕？
俺がワケわかれねぇという顔をしていると、ヘラヘラ笑いながら話していた刑事がフッっと真面目な表情になって言った。
「鈴木久美さんを殺した犯人は、琢美ちゃんの父親、藤川一朗ふじかわいちろうです。証拠が出ました、鈴木久美の住むアパートの向かいに大きな古着屋のチェーン店が有るんですが、その店の防犯カメラが360度撮影型で、丁度鈴木久美の部屋の入り口が撮影されてたんです。死亡時刻に鈴木久美さんの部屋に出入りしていたのは彼だけです。それに最近多発していた未成年者による組織的な暴力事件の実行犯の教育係が琢美ちゃんの父親だったんだ。殆どのメンバーが家出少年、少女だったから未成年者誘拐が適用されるかもしれない」
「あのオッサンそんな事までしていたのか」
俺が驚くと
「そんな事どころか、何人か洗脳して日常的に暴行してたぞ。保護したは良いが洗脳が解けなくて大変なんだ今」
渋い顔でそう付け加えた。