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lose sparkring 1-2

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呆然と琢を見つめる。
琢は意を決した様に、両手それぞれで着ているシャツの布をギュウっと掴んで口をひらいたケド、又ションボリと下を向いてしまった。
その姿が、小さな琢美と重なった。
琢美が全く同じ仕草をする事が時々あった。
思い切って何かを言おうとする時の、琢美のクセだった。
俺の頭の中では、色んな思いがせめぎ合っていた。
『違う、そんなワケ無い』『イヤ、でも父親が言ってる』『こんな男のいう事なんか信じられるモノか』『じゃぁ琢美は男なのに、着たくも無いワンピース着せられていたのか』『じゃぁ、琢美は学校はどうしてたんだ?』。
グチャグチャの思考のまま琢に問う。
「琢、が、琢美?」
琢は舌を向いたまま小さな声で
「・・・はい」
っと答えた。
琢に言われたとたん、俺の中の混乱はコトンと収まった。
そうか、琢が、琢美だったのか。
そうか・・・・・。
大きなため息をついた。
「どっちのお前も嘘をついてたんだな」
「ごめんなさい」 
ふるえる声で琢が、イヤ琢美がそう言った。
「言えなくて、女の子じゃないってバレたら嫌われるかもって、時間がたつ程に言えなくなって。学校の皆みたいに、男がスカート穿いてるって笑われたらどうしようって。どんどん好きになって好きって言ってもらえて、必死で・・・」
「琢、琢美」
「ごめんなさい。全部、全部嘘でした」
セットした前髪を両手で掴んで顔を隠し、琢美が言う
「貴方に見せてた物、名前と気持ち以外の全部が嘘でした」
その姿が、やっぱり琢美と重なった。
そうか、そりゃそうか、面影が、重なるワケだぜ。
「琢が、琢美・・・」
一瞬にして色んな事を思い出した。
初めて合った日の緊張に引きつった頬、チョコレートを食べた時の無邪気な笑顔、父親の暴力に怯える表情、折れそうな程細い体を抱き寄せた時の感触、数えきれない程のキス。
そうして、俺の瞳に怒りの炎がゆらりと燃え上がり、腹の中がグラリと煮えた。
琢が琢美ならば、琢美が男だったのなら・・・

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