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candied apples  4ー1

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ホールへ繋がる扉に近づく程に、俺達の顔から笑顔が消えた。
俺達が出てくるのを急かす為にわめいていると思った声は、扉に近づくにつれ段々ケンの強いわめき声になっていった。
「何なんだアンタ、何しにここに来たのさ、出ていけよ!俺もセンパイもお前の顔なんか二度と見たくねぇんだよ」
わめくコバの声の合間に、聞き馴染みのあまり無い声が微かに聞こえてくる。
「コバでも高岡でもねぇ声だな。」
「お客さんでしょうか?」
ただ、何処かで聞いたことがある声だとも思った。
妙な胸騒ぎに駆られて、琢の手を離して先にホールへの扉をくぐった。
予想通り、ホールにはコバと高岡の他にもう一人男がいた。
スラリと背の高い、50代後半に見える男だった。
その男を見た瞬間、俺は度肝を抜かれた。
そこに立っていたのは、琢美の父親だった。
「オイ、嘘だろ?」
そう言った俺の声は、緊張で干上がって枯れていた。
琢美の父親は、にこやかに、本当ににこやかに笑って俺に向かって手を上げて挨拶をした。
「久しぶりだね、佐藤くん」
琢美の父親は、昔と変わらねぇ人懐っこい笑顔で言った。
昔から、俺が琢美の父親の一番気色が悪いと思う所はここだった。
どんなに酷い暴力を振るった次の日でも、まるで何も無かった様に笑顔で話しかけて来るのだ。
まるでそんな記憶なんて無い様に、俺も大概だったケド、この男だけは異質で異様だった。
あれだけの事をしでかして、何でこんなに罪悪感の欠片もねぇ笑顔が俺達に向かって出来るんだ?
人間としての何かが、ポッカリと無い様にしか思えねぇ。
「何でここをアンタが知ってるんだ?何しに来た!?」
全身の筋肉が戦闘態勢に入ったのが自分でも分かった。


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