スイート・スパイシースイート

candied apples １－２

一体どんな理由でどんな道をたどって琢美のワンピースが琢の手に渡ったんだろう。
俺が思いつく理由はどれも何だかワザとらしくて不自然でイマイチ説得力が無い様におもえる物ばかりだった。
空を見上げながら本日何十回目かのため息をついた所で背後の人の気配に気が付いた。
「鬼のかく乱だなぁ・・・ホント」
「高岡刑事・・」
後ろから聞こえてきた聞きなれた声に振り返ると、いつも通り無精ひげを生やしたイカツイオッサン刑事、高岡が『ヨゥ』と気安い挨拶をしつつ片手をあげながらこっちに歩いてきた。
「かろうじて生きてるって感じだなお前」
高岡刑事がシリアスになり過ぎねぇ様に気を遣いながら様子をうかがってくる。
ゲンキだよと言うつもりで俺も軽口で返すケド
「人をゾンビみたいに言わないでくださいヨ」
「ゾンビみたいな顔色しておいて。早く何とかしろｫ」
「うるせぇよ」
軽口もイマイチうまくねぇ。いつもみたいにスッキリおわれねぇ。
高岡刑事も『あーあー』ってやれやれな顔してる。
「まぁ、良いか。出ない元気無理やり出してもドッカで大けがするだけだしな。とりあえず何か食い物食わしてよ。あと明日お前らヒマ？」
「明日？」
いつも思いつきでやってくる体の、高岡の珍しい予定合わせに面食らって、だから何かクイテェならちゃんと営業時間内に来いよ『とりあえず何か食わして』じゃねぇョ。という文句が引っ込んだ。