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candied apples 1-1

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せっかく出会って一年の節目なのに、結局俺たちは何も記念日的な事をしなかった。
俺のせい。
悩み過ぎて気力がうまく出ない。
琢は気を使ったんだと思う、何も言ってこなかった。こういうの絶対好きなタイプの人間だと思うんだけど。
俺、今サイテーの恋人じゃね?
気分もサイテーだよ・・・
夜の睦言も琢は最近手加減してくれている、そりゃそうだろう。我ながらこの顔色は酷い、病人か何かみたいだ。
最近じゃ高岡刑事まで気が付いて、どうしたのか聞かれる始末だ・・・・。
コバは気が付いてるんだろうけど何も言ってこねぇ。あいつは生まれながらの駄々っ子だから人の気持ちの機微にはわりと頓着しないのだ。
俺としてはありがたかった。何か聞かれても何もいえねぇし。
店をやってて良かったと思う。
今となっては店で働いて忙しくしている時だけが気持ちが休まる時となっていた。
昼食のラッシュ時を過ぎて一瞬暇になる時間帯の午後3時、夕飯時に向けてメニューの下準備をするために準備中の札を店の入り口に下げてから空を見上げると、空の色は俺の心とは裏腹に嘘みたいに雲一つない澄み切った青空が広がっていた。
あのワンピース、もっと雑にしまってあったのを見つけたなら、あるいはこんなに悩む事もなく琢に持ってる理由をきけたのかもしれねぇ。
あのしまい方は、まるで宝物を隠す様に仕舞ってあった。
破れた個所を丁寧に繕い、茶色い染みもよく見なければ気づかないほど丁寧にしみ抜きしてあった。
大切な思い出でもあるかの様に綺麗な模様のブリキ缶に入れられていた。きっと、アレは琢にとっても何か重要な意味を持つ物のなんだろうと容易に想像できた。
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