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vanilla essence 1―13

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俺の制止なんか耳に入らない様子で、俺の弱い所を愛撫して俺の体内でくすぶっていた性欲を煽っていく。
「それとも最後の引導でも渡しに来ましたか?・・・・・・だったら何で・・・だったら何で僕の愛撫にこんなに素直に応えるんですかっっ・・・」
竹川の言葉は、その激情とは裏腹に穏やかに俺達の部屋に響いていた。
でも、でも俺にはその声が血を吐くような悲鳴にしか聞こえなかった。
俺は堪らなくて、竹川の気持が堪らなくて、愛しくて。
言葉にならなくて。
でも気持は伝えなきゃと思って。
祈る様な思いで口づけた。
俺の思いが伝わったのか、単に驚いただけなのか・・・。
取りあえず竹川は止まった。
ものの勢いで名前を呼んでみた。
「・・・・・・琢・・・」
名前を呼んだとたん、火傷でもしたみたいにビクリと揺れた竹川が恐る恐る俺の顔を見る。
俺は照れくさかったケド、スゲェ照れくさかったけど。
踏ん張って目を反らさずにもう一度確かな声で愛しい男の名前を呼ぶ。
「琢・・・好きだ。お前が好きだよ。」
正気にもどったいつもの竹川・・・いや、琢は、綺麗な顔をクシャクシャにして俺の肩に顔をうずめた。
あぁ、やっといつもの竹川が・・・イヤ、琢が戻って来たと、安堵の溜め息を着いた。
もうモヤシとは言えなくなってっケド、相変わらずいつものヘタレな琢に戻ったのを確認して思わず苦笑する。
何だか改めて自覚しちまった自分がおかしかった。
モヤシだヘタレだと言いつつも、結局俺はこのままの琢が好きなんだ。
ひょっとしたら、あのままキレさせておけば、スイッチのはいった琢が勢いで今度こそ最後まで行ってくれるかもとはチラリと考えたケドょ。
それは何か違う気がした。
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