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vanilla essence 1―9
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彼女の住んでいるアパートは俺の店から徒歩と電車で一時間位の所に有った。
「意外と近くに住んでいたのね、私達」
しっとりとしなだれかかりながら琢美が仕草で俺をアパートの中に誘う。
柔らかい膨らみが俺の鳩尾あたりに押し付けられた。
「会いたかった・・・」
彼女の小さな腕がそっと俺の腰に廻される。
「気が付いた?指輪・・・」
「あぁ・・・」
掠れた声で返事をすると『ふふっ』と嬉しそうに頬を寄せた。
「ちょっと、見せてみな、キツくなってたりしねぇか?」
と優しく問いかけると彼女は素直に指輪を外して寄越した。
「実は一回だけ、どうしてもキツくなって直してもらったの、だから大丈夫。」
「そっか・・・」
もしかしたら偽物かも知れねぇと思ってよくよく確かめたけど、指輪は本物だった。
作った時にわざと着けておいた傷までご丁寧に着いていた。
この傷は俺と琢美しか知らねえハズだ。
「懐かしいな・・・」
授業なんかロクスポ聞いていなかった俺が中学校で唯一マトモにこなした授業がコレを作った時の技工と調理実習だった。
「私には体の一部みたいな物だわ」
「・・・それでさ」
やっと目的の物を手に入れた俺は、ゆっくりと琢美を狭いアパートの玄関の壁に押し付けながら、ズット問いたかった質問をした。
「コレ、どうやって手に入れたの?なぁ・・・琢美の偽物さんよ?」
「意外と近くに住んでいたのね、私達」
しっとりとしなだれかかりながら琢美が仕草で俺をアパートの中に誘う。
柔らかい膨らみが俺の鳩尾あたりに押し付けられた。
「会いたかった・・・」
彼女の小さな腕がそっと俺の腰に廻される。
「気が付いた?指輪・・・」
「あぁ・・・」
掠れた声で返事をすると『ふふっ』と嬉しそうに頬を寄せた。
「ちょっと、見せてみな、キツくなってたりしねぇか?」
と優しく問いかけると彼女は素直に指輪を外して寄越した。
「実は一回だけ、どうしてもキツくなって直してもらったの、だから大丈夫。」
「そっか・・・」
もしかしたら偽物かも知れねぇと思ってよくよく確かめたけど、指輪は本物だった。
作った時にわざと着けておいた傷までご丁寧に着いていた。
この傷は俺と琢美しか知らねえハズだ。
「懐かしいな・・・」
授業なんかロクスポ聞いていなかった俺が中学校で唯一マトモにこなした授業がコレを作った時の技工と調理実習だった。
「私には体の一部みたいな物だわ」
「・・・それでさ」
やっと目的の物を手に入れた俺は、ゆっくりと琢美を狭いアパートの玄関の壁に押し付けながら、ズット問いたかった質問をした。
「コレ、どうやって手に入れたの?なぁ・・・琢美の偽物さんよ?」
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