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sakura flavor 2-2

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駆け寄った俺の腰を、竹川がかき寄せて捕まえた。
油断してた俺はあっさりバランスを崩し、俺の腹に顔を埋める竹川の肩に覆い被さるように倒れ込んだ。
「た。竹川…さん?」
「・・・」
竹川からの返事は無く、変わりにぎゅっと抱きしめられた。
そこで、アレ?と思った。
「竹川さん、筋肉着いた?」
くくっと泣きながら竹川が喉で笑う。
「何の為に着けたのか・・・」
口調が自暴自棄だ。
「何かあったんですか?」
質問は、質問で帰って来た。
「今年はどんな人と寝てきたんですか?」
「は?」
「腰のくびれた可愛いソープ嬢?仲の良いキャバ嬢?それとも可愛い男の子にくわえさせて来ましたか?」
「何、言ってんの?竹川さん」
二本の酒瓶から察するに、強かに酔ってるであろう竹川は、一向に腕の力を弱める気配は無い。
抱きしめられたまま体制を立て直し、俺の腹に顔を埋めたままの竹川の顎の下に手を添えて上を向かせると竹川の泣き顔と目を合わせる。
舞い散る桜の花びらの中の竹川の泣き顔が、やっぱり琢美と重なって、胸の奥をチリチリと焦がす。
「泣き上戸だな」
胸の痛みをごまかす為に少しからかい口調で苦笑してみせ、竹川が釣られてて笑う事を期待したんだけど
「泣かせてるのは、貴方だ。」
余計泣かれる羽目になった。
「好きなヤツが居るんじゃねぇのかよ?」
「それが自分の事だとは思わないんですか?」
「・・・・・俺はあんたに傷つけられた事はねぇよ」
痛い所を突かれたような顔をして、竹川が瞳を揺らめかせる。
それから泣き笑いの顔を作って。
「貴方が気付いて無いだけです」
と呟いた。

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