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vanilla on the cherry 1-6

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なんとなく煙に巻かれた感があるけど、書き入れ時に問い詰める暇なんては無くて、竹川のデザートを出すだけでも精一杯だった。
「ほら竹川さん、約束の新作デザート」
「うわ、キラキラですね!」
口の中に残ったスープの辛みを、水を飲んでこらえていた竹川の顔がぱっとほころぶ。
「名付けて『バニラ・オン・ザ チェリー』チェリーシロップでコンポートしたアメリカンチェリーの上にアイスクリームとバニラカスタードを乗せてジュレと金箔、銀箔をあしらってみました。バレンタインからホワイトデーまでの限定品でっす」
コバが呆れた顔をして突っ込んで来る。
「何つーかさ、ここカレー屋なのに妙に凝ったデザートやら飲み物出すよな」
「場所がら女性客やカップル客が多いからな、竹川さんみたいなお客さんも居るし」
イソイソとスプーンを構える竹川を眺めながら答える。
真っ赤なチェリーとバニラとを口に運ぶ竹川は妙にエロティックな気がしてちょっと見とれる、一口に食べた途端、恍惚の表情で
「はぁ・・・あ・・凄い・・・美味しい・・・」
とため息混じりに呟くと。
甘いものもいける口の高岡刑事が横から一口かっさらって
「俺にも頂戴」
親指を立てて『good』サインを出しながら注文して来た。
それを見ていたカウンター席に座ってる、甘いものも好きなお客さんとカップル客が次々に注文してくる。辛党のコバがボソボソと呟いた。
「でもチェリーってさ、童貞って意味も有りますよね。バニラアイスとかクリームって見た目は何か・・・」
コバが全てを言い切らない内に、俺が切れるより早く高岡刑事がコバの後頭部に平手を当てて、中々子気味ナカナカこぎみの良い音と共にコバの顔をカウンターに沈めた。

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