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vanilla on the cherry 1-1

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杉花粉も飛び始めた3月中頃の事だった。
「最近、メニューに甘い物が増えたっスよね」
平日午後6時、客が本格的に増えてくる頃に、コバが来てカウンターのいつもの席にへばりつきながら呟いた。
俺が、竹川が好きそうなデザートとカレーを、幾つかメニューに増やしたのを、目ざとく見つけたのだ。
「まぁな、何だ?何か食べてみたいもんでも有るのか?」
「・・・別に」
コバは辛党だ、カレーを食べたデザートにポテチを食べる位だからまぁ甘い物には興味無いだろうな。
それにしても、と思う。
「今日は随分ご機嫌ナナメじゃないか」
出されたビールをカウンターにへばりついたまま飲むという、実に行儀の悪い姿勢で飲みながらも
「そんな事ねッスよ」
とまた不機嫌に返事をする。何なんだよ、と睨め付けた所に高岡刑事がやってきた。
「よぅ。元不良少年に豆狸」
「いらっしゃい」
「俺はアニマルじゃねぇッスよ!」
元々不機嫌だったコバが高岡刑事を威嚇する。威嚇された本人は
「おっと、今日の子狸はご機嫌ナナメか」
余裕で受け止めて、さっさと豆狸もとい、コバの隣に腰を下ろした。
「珍しいっスね、高岡さんがこんな時間に来るなんて」
メニューを渡しながら話しかけると。
「ちょっと気になる事があってな、調べ事してたんだよ。」
「気になる事?」
横で『何なんだよ二人して』と、もう完璧にふてくされてタンドリーチキンにかじりついているコバは放っておいて、二人で話し込む。
「最近妙にヤンキー達が元気なんだよ、被害届がここ数ヶ月でいつもの三倍にまで膨れ上がってな」
「そういえば竹川がこの前また絡まれてましたよ」
「竹川さんが?また?」
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