スイート・スパイシースイート

鈴紐屋 小説:恋川春撒 絵・漫画:せつ

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「コバ、何やってんだよ。」
新しいスプーンを出してやりながら軽くいさめてやると
コバは慌てて謝りながら、落ちたスプーンを拾いに床に降りた。
「あ。イヤ、すんません。何か今お二人のバックに、一瞬お花が見えた気がして…ただ、シーン的に登場人物の大小のバランスが若干変…」
「何、訳ワカメな事訳の分からない事言ってんだよマメ狸、変なヤツだな…」
「マメ狸は酷いですよぅ、この体型結構気にしてるんスからね」
と不服の声を上げながら出来たてのマトンカリーにかぶり着いた。
「竹川さんのチキンカリーもすぐ出来るから、も少し待って」
と言うとまだホンノリ頬の赤い竹川がやっぱり小さな声で
「はい」
と返事した。
後はコバと、近所のガラの悪いヤンキーがどこでよくタムロしてるか、とかそんな取り留めも無い話をして、時々出るジョークに竹川が笑って、時間は穏やかに過ぎていった。
コバが変な事を言うまでは。
ふと、ナンをカレーに浸しながら、ふと思い付いたみたいにコバが言った。
「俺、以前から思ってたんだけどさ、竹川さんてエンジェルに似てるよな」
「エンジェル?」
竹川が聞き返す。
「先輩の彼女さんです」
周りが砂吐く位ラブラブなんすよ。
と笑うコバに竹川が微妙な…戸惑う様な声で
「恋人、いらっしゃるんですか…」
と言った。
「元、恋人」
振られちゃったんでね…
っと、コバが余計な事を言ったお陰で俺はしたくもない訂正をする羽目になる。
「すっげーラブラブだったんですけどね。ちょっと事情が有って会えなくなってる内に、彼女にとって俺は側にいちゃいけねェ人間になってたんだ…」
ちきしょう…
自分で言ってて自分で痛てぇ…

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