スイート・スパイシースイート

鈴紐屋 小説:恋川春撒 絵・漫画:せつ

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first taste 4-1

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高岡刑事は、恐縮して縮こまっちまった竹川を笑うだけ笑って店を出て行った。
店内は俺と竹川の二人だけになった。
フォローは俺に丸投げかよ…
「気にすんな、馬鹿なんだよ。アイツたぶん」
「イェ…ハァ」
「『竹川 琢』…………へぇ、良い名前じゃん」
竹川から渡された名刺を読み上げながら
「特に下の名前、俺この漢字好きなんだ」
とつづける。
琢美の名前の漢字だから。
とは流石に言わない
「あ、ありがとうございます」
少し、緊張の解けた竹川が笑う。
って言っても、前髪で目とか隠れちまってるから、実際には口が緩んだから笑ってるんだろう、程度にしか判らねえケド。
「しかも薬品会社の研究員!頭良いんだなぁ!すっげーじゃんか」
もやしだ、もやしだ、と思っていたら、竹川は近所の大手薬品会社、万薬堂の研究員だった。
あそこは近いから、何人か常連客がいる。
昨日は実験結果が出るのを待っていて、遅くになって帰る所で絡まれたらしい。
「あ、イヤ、ぼっ僕それしか取り柄無くて。」
人差し指で、ほっぺをポリポリ掻きながら恐縮する竹川。
照れた姿がなんか面白レェ。
そんな竹川の体躯をみて思わずポロッと言ってしまった。
竹川琢の琢はタクマシイの琢(笑)
「これだけ凄くて名前負けしてるヤツも珍しいよな(笑)!」
……………あ。
しぼんだ。
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