スイート・スパイシースイート

first taste １－３

「オイ、アンタ意識はあるか？俺はそこでカレー屋開いてる佐藤ってモンで、自分でいうのも何だけど、ガラは悪いけど別に怪しい人間じゃ無いから」
思いっきり恩着せがましく俺の店のアピールをしつつサラリーマンに話しかけた。
が、返事が無い。
「…オイ？」
近づくと、ガタガタ震えてる上にしゃくりあげてる音が聞こえた。
………え～!?マジ?!マジで泣いちゃってるの？！ウッソ。
あれくらいで？
いや、サラリーマン狩りに合うのはあれくらいって言って良い事じゃ無いけどさ、だってこのサラリーマン、何か胸板薄くて如何にも「もやし君」って感じだけどタッパ（身長）は結構有るよ!?
それが幼児みたいに泣くか？普通。
「ちょっ、もしもし！オイ、まさか頭を打ってイッちゃってるとか止めてくれよ!?」
頼むよ俺の近い将来の常連さん！しっかりしろっ！
っと肩に手を当てたとたん、何かのタガが壊れたみたいにサラリーマンが叫んだ。
「やだぁぁぁぁぁぁあっ」
必死で縮こまりながら頭を両腕でかばいながら泣きわめく。
ごめんなさい、ごめんなさい、お願い許して。
良い子にするから。
僕、良い子にするから。
ぶたないでっ。
そんな事を喚きながら泣いている。
それで判った。
大の大人が激弱ヤンキーに黙って殴られてしまった分けが。
多分、子供の頃の記憶を強く思い出してパニクっちまったんだ。
フラッシュバックっていうの？
高校の時、何度かダチや後輩が起こして苦労して落ち着かせた事が有る。ヤンキー高校にはさ、多いんだ。子供の時に虐待受けてて心に傷持ってるヤツっていうのが。

そういうのが、フラッシュバックするといきなり暴れ出したり泣き叫んだりすんだよ。

「アンタ、しっかりしろ！アホヤンキーは俺がノしたろ？アンタを殴るヤツはもう居ない。もう大丈夫だからっ」
だぁぁっ面倒くせぇ。