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第一章
第一幕-3
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「とりあえず、全裸は不味いし…部屋もこんな感じですから…場所を変えませんか?」
アモンの一言により敬一は一旦、彼に衣装部屋と呼ばれている部屋へと案内された。
(しっかし…。ひどい幻覚?妄想だな。不思議の国のアリス病だっけ)
廃墟となる前はさぞ豪華であったと思わせるヒビだらけの廊下の先で、彼を案内しているのはもちろんアモンではな。いそういった仕事はメイドや執事がするものである。彼の前には執事がいる。
(執事がカエルか。趣味が良い)
目の前の執事はカエルだった。ただ、このアマガエルは二足歩行し、仕立ての良い燕尾服を着ていた。
「やっぱり…両生族は珍しいですか?」
カエル執事が首だけ振り向き敬一に話しかけた。突然話しかけられ、彼は身をすくませた。
「なっ何がですか?」
敬一は声を裏返しながら反応した。その反応にカエル執事は目を丸くし慌てた。
「敬語など使わなくて大丈夫ですよ。何か無礼な事を言いましたか?それでしたらすみませんでしたお詫びします。姫様が直々に御世話を命ぜられたのですからとても高貴な方なのでしょう?どうか死罪だけはっ!」
猛烈な早口で謝罪をし出したことに敬一は驚き、逆に冷静になった。
「高貴とかそんなのはないですよ。ついさっき起きたばかりみたいですし、ここがどこかもわかってないし、全裸だし…」
アモンから渡されたボロ布をまとっただけの敬一は、その隙間から手を出し頭を掻いた。
「ということは、あなたが救国の英雄殿ですか!召喚術は失われた古代技術ですし、姫様は失敗したとか叫んでたからてっきり…失礼しました!」
このカエル執事の口振りから、敬一は自分が英雄という役割を与えられていることがわかった。
「あのっ、一体わたっ…俺に何が起きたんですか?帝国とか救ってとか訳がわからないですよ」
途中の廊下で彼はカエル執事に疑問を投げかけた。
「召喚された方というのなら、事情がわからないのも無理ないですよね。簡単に言うと、この帝国はヒト族にって崩壊の危機にあるんですよ。実感ないですけどね…あなたはこの国を復活させるため喚び出されたんですよ。ちなみにどこのご出身で?戦争の事知らないなら南の方ですか?」
(ずいぶんとよく喋るカエルだな。何だか中瀬みたいな奴だ)
敬一は高校時代からの友人を思浮かべながら、極力話を合わせつつこの執事から情報を得ようとした。
アモンの一言により敬一は一旦、彼に衣装部屋と呼ばれている部屋へと案内された。
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目の前の執事はカエルだった。ただ、このアマガエルは二足歩行し、仕立ての良い燕尾服を着ていた。
「やっぱり…両生族は珍しいですか?」
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「敬語など使わなくて大丈夫ですよ。何か無礼な事を言いましたか?それでしたらすみませんでしたお詫びします。姫様が直々に御世話を命ぜられたのですからとても高貴な方なのでしょう?どうか死罪だけはっ!」
猛烈な早口で謝罪をし出したことに敬一は驚き、逆に冷静になった。
「高貴とかそんなのはないですよ。ついさっき起きたばかりみたいですし、ここがどこかもわかってないし、全裸だし…」
アモンから渡されたボロ布をまとっただけの敬一は、その隙間から手を出し頭を掻いた。
「ということは、あなたが救国の英雄殿ですか!召喚術は失われた古代技術ですし、姫様は失敗したとか叫んでたからてっきり…失礼しました!」
このカエル執事の口振りから、敬一は自分が英雄という役割を与えられていることがわかった。
「あのっ、一体わたっ…俺に何が起きたんですか?帝国とか救ってとか訳がわからないですよ」
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「召喚された方というのなら、事情がわからないのも無理ないですよね。簡単に言うと、この帝国はヒト族にって崩壊の危機にあるんですよ。実感ないですけどね…あなたはこの国を復活させるため喚び出されたんですよ。ちなみにどこのご出身で?戦争の事知らないなら南の方ですか?」
(ずいぶんとよく喋るカエルだな。何だか中瀬みたいな奴だ)
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