異世界街道爆走中〜転生したのでやりたい仕事を探します。

yuimao

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第三章 悩める剣士との出会い

第68話 アリシアとのデート②

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「・・・ワタルは一体何者なんだ?」

 アリシアの射抜くような緑色の瞳が俺をじっと見ている。

「・・・・・・・・・」
「なぜ妖精様と一緒にいて、ドリュアス様のお姿を知っている?」
「やっぱりウェンディの姿が見えていたか?」
「ああ。それにその尋常ではない幼霊の数・・・一般人であるはずがない」

 ここで誤魔化すのは簡単だ。昔から妖精や精霊に愛される体質だとでも言えばいいかも知れない。
 しかし、ドリュアス様がアリシアと話をしろと言った。ある程度誠実に答えるべきだな。

「俺の事を話す前にあなたの事を教えてくれ。迂闊に喋れる内容ではないから、アリシアの事を知っておきたい」

「ふぅーそうだな・・・確かにワタルの言うとおりだ。私の名前はアリシア・ラインハート。妖精が見える理由は王族の血を引いているだからだ」

「王族・・・」
「私は三ヶ月程前にシップブリッジに来た。理由は聞かないでくれ・・・昔のツテを辿ってあの教会に世話になっている」
「そうか・・・妖精が見える理由は分かった。それじゃ俺の番だな」

 アリシアはまさかの王族だった。やっぱりただのアリシアではなかった。

「俺は転生者だ・・・地球という場所から来た。精霊はドリュアス様しか会ったことがないが色々助けてくれる。この世界に転生した時に出会った風の妖精ウェンディに俺が妖精や精霊に愛される体質だと聞いた。なんでそうなったか理由は分からない」
「な、なんと・・・そうであったか・・・まるでガンテツ様のようだ・・・」
「ウェンディからも同じことを言われたよ」

「・・・・・・・・・」

「アリシアどうした?」

 急に黙り込んだアリシアは、何かを決意したように顔を上げる。

「ワタル。話してくれてありがとう。それに付きまとって申し訳ない。それより腹は減ってないか?美味しい所を知っているんだ。一緒にどうだろうか?」
「俺も秘密にするからアリシアも頼む。そうだな飯にしよう」
「よし!それじゃ行こうか!」

 俺は先程よりも積極的に俺の手を握るアリシアに連れられて教会を後にした。
 チラリと後ろを振り向いた時に、緑色のドレスが目に入ったが気にしないことにした。

 ・・・・・・・・・

「・・・なんかすごい見られているな」
「ほらもうすぐだ!」

 そりゃこんな美人に手を引かれていれば嫌でも目立つ。
 注目を集めながら大通りを急ぎ足で歩いていると少し大きめの宿屋が見えてきた。
 その宿屋の看板にはレストランのマークもある。

 カランカラン

 何の躊躇もなく宿屋の扉を開けるアリシア。
 パッと見回すと客の入りは3割ほどだろうか。

「いらっしゃいませ!ってアリシアさん!」
「ああそうだ!二階の個室は空いているか?」
「え、ええ・・・空いてますけど・・・今日はすごい気合入ってますね」
「き、気合など入っていない!普段着だ!」
「そ、そうですか・・・」
「2名だ!案内してくれ!」

 チラリ

「ははーん・・・そう言うことですか・・・後でお話を聞きますね・・・」
「早くしてくれ!」
「はいはい・・・2名様ご案内しまーす!」

「アリシアはここには良く来るのか?」
「ま、まぁな」

 受付の女性とのやり取りを見るとアリシアは常連のようだ。
 案内されるままに二階の個室にいく。一階にいたカップルの男性がアリシアに見とれて、相手の女性に小突かれているのが分かった。

 ・・・・・・

「それにしてもアリシアは俺なんかと食事をしていいのか?お相手がいるなら変な誤解をされてしまうぞ」
「お相手など生まれてこの方いないから安心してくれ!今は剣が恋人だ」
「そ、そうか。ならいいが・・・たくさんの男性が寄ってきそうだと思ってな」
「何故か周りの男性は遠巻きに見ているだけで近寄ってこない。寄ってくるのは女性だけだ」
「その女性たちにお姉さん様と呼ばれているだろ?」
「なぜわかる!?」

 まさに高嶺の花という言葉が似合うアリシア。多分同性に告白されることも多いだろう。

「実はこんな格好は初めてなんだ・・・親友に教えてもらったけれど実践した事はない」
「へぇー似合うのに勿体ないな」
「そ、そうか・・・それはありがとう・・・」

 顔を赤くしてモジモジしたアリシア。酒のせいだろうか?

・・・・・・・・・

「ワタルは恋人はいにゃいのか?」
「おい。少し飲み過ぎだぞ!そのへんにしておけ」

 始めはビールを飲んでいたアリシアだが、そのうちワインを頼むようになり、グイグイ飲んでいった。
 付き合いで飲み会に行っていた俺なら分かるが、これは自分のペース配分が分からない新人の飲み方だ。

「らいじょうぶ!それより恋人はいないのか?答えるまで質問するぞ!」
「分かった!分かった!今まで恋人はいたことはない。これで満足か?」
「へへへ・・・そうか・・・私と同じだな・・・」
「そうだな・・・そろそろお開きにしようっておい!」
「Zzzz・・・」
「まじかよ」

 寝てやがる。アリシアはテーブルに突っ伏したスヤスヤと寝息を立てていた。
 おいおいどうするんだこれ?

「あのーそろそろラストオーダーなんですけど・・・あらーアリシアさん寝てますね」
「あっ!ちょうどよかった!お会計お願いします」
「はーい!」
「ずいぶんとアリシアと仲が良さそうですけど、どこに住んでいるか分かりますか?」
「あはは!送ってくれんですね?それなら大丈夫ですよ!」
「ん?」
「アリシアさんはこの宿に住んでますから!ちなみに隣の部屋です」
「へ?そうなの?」
「お部屋の鍵持ってきますから、お部屋まで送ってあげてください彼氏さん!」
「彼氏じゃないですけど!」

 俺は、受け付けの女性に誤解されたままアリシアを部屋に送り届ける事にした。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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