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第三章 悩める剣士との出会い
第67話 アリシアとのデート①
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「今日一人で街をフラフラしていたらいい感じの酒場があったから、たまにはお酒を飲んでみようかと思ってさ・・・」
「それじゃ私も行くわ!」
「いやいやウェンディはお酒飲めないだろ?」
「私も行く!」
「ユキナは子供だから酒場に入れないと思うぞ」
「むぅー・・・」
「仕方ないですね。ワタル様とは私が行きましょう。酒場に行くのは初めてですが・・・」
「王女様が行ったらもっと駄目でしょ!」
ここは俺の寝室。
今日のアリシアのデートのために、夜ご飯はいらないと話すと妖精やアドレーヌ様が一緒に行きたいと言いだした。
アリシアとのデートにこんな大所帯で行ったら話をするどころではない。
けしてやましい気持ちで行くわけではないがじっくりアリシアに話を聞きたい俺としては困った事になった。
「まぁまぁ・・・たまには一人になりたい時もあるわよ。行かせてあげましょ」
さすがノーミー。ザリオンと長年契約していただけあって、男の心情を理解している。
そう男には一人になりたい時があるのだ。
「でも安心した。ワタルも男の子だって事が分かったわ」
「ん?俺は飲みに行くだけですが?」
「まぁまぁ・・・私は分かっているから行ってきなさいな」
なんだかやたらと俺を理解している風な態度のノーミー。きっと何か誤解していると思う。
「そ、そうか。そんじゃ行ってくるよ」
・・・・・・・・・
簡単に身なりを整え、クローゼットに入っていた新品の服に着替えた俺は、歩いてアリシアとの待ち合わせ場所に行くことにした。
シップブリッジの街は、ミルフィーユ王国の第二の都市だけあって夜になっても多くの人がいた。
これから飲みに行くであろう冒険者風の若者や仕事を終えて帰宅を急ぐ商人などが道に溢れている。
地球の歓楽街のようにギラギラのネオンや呼び込みをするものはいないが、シップブリッジの街はどこか懐かしい気持ちにさせた。
「本当に誰なんだよ・・・」
アリシアとの待ち合わせ場所である石像がある広場に着いて親父であるガンテツの像を見上げて呟く。
地球にいた時の姿とはずいぶん違う姿に謎が深まるばかりだ。エルザさんはそのうち分かると言ったが早く教えて欲しい。
「ん?なんかイベントやっているのか?」
石像の正面のベンチに腰を掛けてアリシアさんを待っていると、石像の反対側に人だかりができているのが分かった。
大道芸や有名人でもいるのかな?
「おいおい・・・なんでこっち来るんだよ?」
ぼんやりと人だかりを見ていると、その集団はゾロゾロと動き出し、やがて石像の正面までやって来た。
つまり、俺も人だかりに囲まれたと言うことだ。
「持たせたな!隣に座っていいだろうか?」
「・・・・・・?」
「ん?どうした?呆けた顔をして」
「あ・・・いや・・・その誰ですか?」
「なんだ?私の顔を忘れてしまったのか?」
ああそうか・・・これはあれだ・・・美人が声をかけて絵画やマンションや宗教に誘うやつだ。
「すみません。絵には興味ないです!マンションを買うお金はありません!精霊様に御世話になっているので他の神様とは浮気できません」
「なっ?!」
「というわけで失礼します!人を待っているので!」
ガッ!
「待て待て!少し落ち着いてくれ!私だ!アリシアだ!」
「へっ?」
ザワザワ・・・ザワザワ・・・
立ち上がろうとした俺の手をアリシアさんは素早く掴む。
その様子に俺達を囲んでいる集団はどよめきたった。
「うそ・・・アリシアさん?」
「そうだ!君の剣の先生のアリシアだ」
「マジで?」
俺の手を掴んで必死に訴える美人。
きれいな金髪を肩までおろし、オシャレな髪飾りをつけている。
薄っすらと化粧をしている姿は見惚れるほどだ。
服装は薄い緑色の膝丈のワンピースに所々花がらの刺繍がしてある。本人の緑色の瞳と相まって、まるで妖精のようだ。
そうか!アリシアさんのその容姿に人だかりができていたのか。
「と、とりあえず場所を変えよう」
「そうですね。なんかすごい注目されてますし・・・」
アリシアさんは俺の手を引っ張りその場を離れる事にした。
・・・・・・・・・
「あのアリシアさん・・・そろそろ手を・・・」
「その「さん」は止めて欲しい・・・敬語も同様だ」
「え?まぁそっちが良ければ・・・」
「良かった・・・ところで・・・まぁいい」
「はぁ・・・」
アリシアは俺の肩あたりをチラチラ見たあと納得したように言った。
この街の事を何も知らない俺がアリシアに手を引かれ連れてこられた場所。
そこはどこか古ぼけた建物で、薄暗い場所だった。
「ここはどこなんで・・・どこなんだアリシア?」
「ここは木の精霊教会だ。とりあえず中に入ってみよう」
「ああ」
ギギギ
俺が通っている教会兼剣術道場のように、蝶番が音を立てて古ぼけた扉を開けた。
当然、正面にはドリュアス様の像が鎮座している。
「ドリュアス様はいつ見ても美しいな。エアロ様も美しいが私はドリュアス様が好きだ」
「そうですね・・・ドリュアス様はミステリアスクールビューティって感じです」
ん?なんだかドリュアス様の像の目が光ったような・・・
「まるで会ったことがあるような言い方だな?」
「・・・・・・・・・」
「それに今日は妖精様はいないようだ」
「アリシア?」
「・・・ワタルは一体何者なんだ?」
やっぱりだ・・・アリシアは俺の正体を知りたくてデートに誘った。
ここアトランティスでも俺に近づいてくる美人は何かしらの思惑がある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
面白い、続きが気になるという方はいいねや感想を頂ければ嬉しいです♪
「それじゃ私も行くわ!」
「いやいやウェンディはお酒飲めないだろ?」
「私も行く!」
「ユキナは子供だから酒場に入れないと思うぞ」
「むぅー・・・」
「仕方ないですね。ワタル様とは私が行きましょう。酒場に行くのは初めてですが・・・」
「王女様が行ったらもっと駄目でしょ!」
ここは俺の寝室。
今日のアリシアのデートのために、夜ご飯はいらないと話すと妖精やアドレーヌ様が一緒に行きたいと言いだした。
アリシアとのデートにこんな大所帯で行ったら話をするどころではない。
けしてやましい気持ちで行くわけではないがじっくりアリシアに話を聞きたい俺としては困った事になった。
「まぁまぁ・・・たまには一人になりたい時もあるわよ。行かせてあげましょ」
さすがノーミー。ザリオンと長年契約していただけあって、男の心情を理解している。
そう男には一人になりたい時があるのだ。
「でも安心した。ワタルも男の子だって事が分かったわ」
「ん?俺は飲みに行くだけですが?」
「まぁまぁ・・・私は分かっているから行ってきなさいな」
なんだかやたらと俺を理解している風な態度のノーミー。きっと何か誤解していると思う。
「そ、そうか。そんじゃ行ってくるよ」
・・・・・・・・・
簡単に身なりを整え、クローゼットに入っていた新品の服に着替えた俺は、歩いてアリシアとの待ち合わせ場所に行くことにした。
シップブリッジの街は、ミルフィーユ王国の第二の都市だけあって夜になっても多くの人がいた。
これから飲みに行くであろう冒険者風の若者や仕事を終えて帰宅を急ぐ商人などが道に溢れている。
地球の歓楽街のようにギラギラのネオンや呼び込みをするものはいないが、シップブリッジの街はどこか懐かしい気持ちにさせた。
「本当に誰なんだよ・・・」
アリシアとの待ち合わせ場所である石像がある広場に着いて親父であるガンテツの像を見上げて呟く。
地球にいた時の姿とはずいぶん違う姿に謎が深まるばかりだ。エルザさんはそのうち分かると言ったが早く教えて欲しい。
「ん?なんかイベントやっているのか?」
石像の正面のベンチに腰を掛けてアリシアさんを待っていると、石像の反対側に人だかりができているのが分かった。
大道芸や有名人でもいるのかな?
「おいおい・・・なんでこっち来るんだよ?」
ぼんやりと人だかりを見ていると、その集団はゾロゾロと動き出し、やがて石像の正面までやって来た。
つまり、俺も人だかりに囲まれたと言うことだ。
「持たせたな!隣に座っていいだろうか?」
「・・・・・・?」
「ん?どうした?呆けた顔をして」
「あ・・・いや・・・その誰ですか?」
「なんだ?私の顔を忘れてしまったのか?」
ああそうか・・・これはあれだ・・・美人が声をかけて絵画やマンションや宗教に誘うやつだ。
「すみません。絵には興味ないです!マンションを買うお金はありません!精霊様に御世話になっているので他の神様とは浮気できません」
「なっ?!」
「というわけで失礼します!人を待っているので!」
ガッ!
「待て待て!少し落ち着いてくれ!私だ!アリシアだ!」
「へっ?」
ザワザワ・・・ザワザワ・・・
立ち上がろうとした俺の手をアリシアさんは素早く掴む。
その様子に俺達を囲んでいる集団はどよめきたった。
「うそ・・・アリシアさん?」
「そうだ!君の剣の先生のアリシアだ」
「マジで?」
俺の手を掴んで必死に訴える美人。
きれいな金髪を肩までおろし、オシャレな髪飾りをつけている。
薄っすらと化粧をしている姿は見惚れるほどだ。
服装は薄い緑色の膝丈のワンピースに所々花がらの刺繍がしてある。本人の緑色の瞳と相まって、まるで妖精のようだ。
そうか!アリシアさんのその容姿に人だかりができていたのか。
「と、とりあえず場所を変えよう」
「そうですね。なんかすごい注目されてますし・・・」
アリシアさんは俺の手を引っ張りその場を離れる事にした。
・・・・・・・・・
「あのアリシアさん・・・そろそろ手を・・・」
「その「さん」は止めて欲しい・・・敬語も同様だ」
「え?まぁそっちが良ければ・・・」
「良かった・・・ところで・・・まぁいい」
「はぁ・・・」
アリシアは俺の肩あたりをチラチラ見たあと納得したように言った。
この街の事を何も知らない俺がアリシアに手を引かれ連れてこられた場所。
そこはどこか古ぼけた建物で、薄暗い場所だった。
「ここはどこなんで・・・どこなんだアリシア?」
「ここは木の精霊教会だ。とりあえず中に入ってみよう」
「ああ」
ギギギ
俺が通っている教会兼剣術道場のように、蝶番が音を立てて古ぼけた扉を開けた。
当然、正面にはドリュアス様の像が鎮座している。
「ドリュアス様はいつ見ても美しいな。エアロ様も美しいが私はドリュアス様が好きだ」
「そうですね・・・ドリュアス様はミステリアスクールビューティって感じです」
ん?なんだかドリュアス様の像の目が光ったような・・・
「まるで会ったことがあるような言い方だな?」
「・・・・・・・・・」
「それに今日は妖精様はいないようだ」
「アリシア?」
「・・・ワタルは一体何者なんだ?」
やっぱりだ・・・アリシアは俺の正体を知りたくてデートに誘った。
ここアトランティスでも俺に近づいてくる美人は何かしらの思惑がある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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