異世界街道爆走中〜転生したのでやりたい仕事を探します。

yuimao

文字の大きさ
上 下
71 / 84
第三章 悩める剣士との出会い

第60話 ウェンディのあれやこれや

しおりを挟む
 商業ギルドからアドレーヌ様の屋敷に帰ってきた俺が見たものは、ウェンディが興奮しながらみんなに力説している姿だった。

「後少し待ってワタルが帰って来なかったら商業ギルドへ殴り込むわよ!私だけじゃ少し戦力が足りないけど、ユキナとノーミーがいればあいつを倒せるわ!」

「エルザさんはきっといい人だよウェンディお姉ちゃん」
「そうだよウェンディ。エルザさんはこの世界の管理者代行なんでしょ?私たちが敵うわけないじゃない」
「何を弱気のことを言ってるの!今もワタルは怪しげな部屋に監禁されているのよ。きっとあれやこれやされているに決まっているわ!」

 何故か俺の寝室に集まり、妖精たちが話し合ってある。扉の前に立っている俺には気づいていないようだ。

「あれやこれやってなーに?」
「子供が知るのは早いわよユキナ!」
「ふーん・・・ウェンディが知っているあれやこれやをノーミーお姉さんに教えてごらんなさい?」
「・・・それは・・・あれよ・・・」

 ん?ノーミーは俺に気づいているな。顔を真っ赤にしたウェンディをからかっているぞ。

「きっとウェンディは他の女にいかがわしいことをされたと思っているのね。かわいいわウェンディちゃん!そう思わない?ワタル?」
「お前ら人の部屋で何やっていんだよ?」

 ニマニマしながらこっちを見ているノーミー。

「ワタル!無事だったのね?あれやこれやされてない?」
「落ち着けウェンディ!別に何もされて・・・されたかもしれない・・・」
 美人エルフに膝枕されたのはアウトかも知れない。

「ほらほら!やっぱり想像した通りだわ!すでにワタルは汚されてしまったのよ!全面戦争よ!」
「待て待て!俺は汚れてなどいない。清いままだ!」
「あら?ワタルってそうなのね・・・良かったわねウェンディちゃん」
「べ、べ、べ、別にどうでもいいわよそんなの・・・」
「またまた素直になればいいのに・・・」
「うるさいわね引きこもり妖精!」
「うわーおこちゃま妖精が怒ったー!」
「いかがわしい事ってなーに?」
「「「子供にはまだ早い!!」」」

 全員がユキナにツッコミを入れた。

 ・・・・・・・・・

「ジャン!これがギルド証だ!晴れて無職を卒業できそうです!」

 俺は貰ったばかりのギルド証を掲げて宣言した。

「なんかやけにピカピカしてるわね?」
「なんか最上級のギルド証らしい。どこでも使えて、人頭税もただになるようだ」
「それがあれば商会の立ち上げも大口の取引もできますよ」
「何故ここにアドレーヌ様がいるんですか?」

 俺の寝室でワイワイギャーギャーやっているといつの間にかアドレーヌ様が混じっていた。高そうなシルクの寝巻きを身にまとい当たり前のように会話に参加している。

「今日はユキナちゃんがここで寝たいと言ったので、私もご一緒にと思いまして。すでに寝る準備を整えております」
「駄目に決まっているじゃないですか。そんな事がバレたらセバスさんに殺されます」
「ヒドイ!私に一人で寝ろとおっしゃるのですか!」
「今まで一人だったじゃないですか!諦めてください!」
「相変わらずぶっ飛んでいるわね王女様」

 その後、なんとかアドレーヌ様を説得し、寝るまでの間一緒にいることにした。

 ・・・・・・・・・

「・・・・・・っとまぁこんな感じだ」

 俺は、エルザさんからギルド証と一緒に貰った手紙を読んでみんなに内容を話すことにした。
 簡単にまとめるとこんな感じ・・・

 精霊馬車の機能が強化していた犯人は、なんとエアロ様。暴走モードの時に張られていた膜は風の魔法のようだ。
 そして、妖精の住処は今後増えていくと思われる妖精のための勝手に作ったと書いてあった。
 そんな予定は無いのに困ったものだ。精霊馬が妖精の巣窟になってしまったらどうするのだ。

 次に親父の事。
 この街にある石像は本来の親父の姿とは似てもにつかわない。
 しかし、手紙によるとあの石像がこの世界の親父の姿のようで詳細はそのうち分かるだろうとのこと。
 いや、それが一番知りたいことなんだが・・・なんでも禁則事項に触れるらしいので無理に聞けない。
 たくさんのゴーグルを付けた妹達が来たら洒落にならない。

 最後にユキナのこと。
 ユキナを誘拐した犯人は人族解放軍なる組織のようだ。妖精を攫って何やら悪巧みを計画しているらしい。ユキナが生贄にされるとか言っていたから、今後注意しよう。
 詳細は現在調査中とのこと。

 ユキナの故郷ホワイト・パレスには無事が伝えられているようだが、大事になっているから覚悟しておいて欲しいと書いてある。
 覚悟ってなんだ?

 2番目のお兄様がユキナの無事を確認するために、こちらに向かっているらしいので、会ったらご挨拶しないとな

 追伸としてエルザさんはバカンスに戻ると書いてあったので今後連絡はあまりできないようだ。
 ウェンディは手紙にビビっていたけど、そろそろ誤解は解いて欲しい。

「フブキ兄様が来てるの!やった!」
「良かったわねユキナちゃん!」

 俺達の秘密に触れる会話を普通に聞いていたアドレーヌ様。
 まぁ一国のお姫様だし、他人に言いふらしたりしないだろうと思う。
 何よりすっかりパーティーの一員みたいになっているからな。

 なんとかアドレーヌ様を自分の部屋に戻ってもらい、久しぶりにユキナと寝た。
 今日はウェンディもノーミーも一緒だ。

 商業ギルドで地球の家族の事を話した覚えがあるがなんだか意識がぼんやりしている。
 その後妙に心が軽くなった気がするので気分がいい。

 ハルカは元気だろうか?
 そんな事を思いながら眠りについた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

面白い、続きが気になるという方はいいねや感想を頂ければ嬉しいです♪



















しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

処理中です...