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第三章 悩める剣士との出会い
第56話 一日商業ギルドマスター
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コンコン
「ワ、ワタル様をお連れしました」
商業ギルド副支店長のギルさんの案内で応接室まで連れてこられた俺とウェンディ。
何故か中の人物に声をかける声が緊張している。
こんな立派な扉の応接室だ。きっと商業ギルドのトップでギルドマスターと呼ばれる人物だろう。
「久しぶりワタル・・・元気そうね」
「は?あれ?なんで?」
「・・・なんでいつも唐突に現れるのかしら?」
大きめの執務机で優雅に座っている美人。
ミステリアスクールビューティのドリュアス様がそこにいた。
様々な花の付いた緑色の長いドレスに、同じ色の目が隠れた髪。その髪にもたくさんの花が咲き乱れている。
もちろん木の幼霊もワンサカ飛んでいた。
「びっくりしたでしょ?」
「そりゃしますよ。あなたがギルドマスターなんですか?」
「うふふ・・・違うわよ。今日はお礼を言いに来たのよ」
「えっと・・・俺は何かしましたかね?」
ゆっくりと立ち上がるドリュアス様。
フッと草原の匂いが鼻を掠めた。
音もなく俺に近寄り、優しく抱きしめる。
「ノーミーを連れ出してくれてありがとう。とても感謝している」
不思議とドキドキしなかった。
人族だとか精霊だとか関係なしに感謝の思いが伝わってきたからだ。
「い、いえ・・・俺は何も・・・ノーミーはウェンディの友達だったので・・・」
「ノーミーはね・・・ウェンディと楽しそうにしているあなたに付いてきたの。ウェンディとそんな関係になったあなたのおかげ・・・」
「あの・・・どういたしまして。ノーミーは楽しそうですよ」
「うふふ・・・知ってるわ」
また、音もなく俺から離れたドリュアス様。
抱きしめられた時は、森の中で清涼な空気に包まれた気分になった。
「本当にノーミーと契約してもいいのよワタル」
「それはノーミーが決めることですので俺からはなんとも・・・」
「あらそう残念・・・ウェンディやユキナールが羨ましいわ」
「その辺にして下さいドリュアス様。また、妖精と契約してしまってはこちらが大変です」
ん?ん?ん?
後ろから聞こえた声に振り向いた俺はそこで固まった。
「それにあの方が我慢の限界です。」
「そう・・・名残惜しいけど・・・またねワタル」
フッと消えてしまったドリュアス様。
そして残った人物を改めて見る。
「狭間の世界以来ですねワタルさん」
「なぜあなたがここに・・・」
「この人族は誰なの?」
「はじめましてウェンディ。アトランティスの管理人代行のエルザと申します」
「・・・・・エルザ?」
「ウェンディ・・・この人はいつも手紙をくれるエルザさんだ」
「エ・・・ル・・・ザ・・・ヒィーーー!!!ごめんなさい!ごめんなさい!」
「あら?どうしてそんなに怯えているのかしら?いつも私の事を色々な言ってくれるのに?」
「ヒィーーー!」
「あなたのことはいつも見守って」
いますよ」
ニコッ
「あはは・・・ついに私を殺しに来たんだわ・・・さよなら・・・わ・・・た・・・る・・・」
エルザさんの意味深な微笑みがトドメとなりウェンディは気を失った。
フラフラと落ちるウェンディを両手で支える。
「やり過ぎですエルザさん。楽しんでいるでしょ?」
「あら?言っている意味がよくわかりません・・・ニコッ」
「・・・怖い・・・お、お久しぶりですエルザさん。いつも助けて頂きありがとうございます」
ウェンディやユキナはともかく、エルザさんは俺にアドバイスをくれる存在だ。
この世界の協力者のは間違いない。
「こちらこそ楽しませてもらってますよ。それにしてもミルフィーユ王家まで味方に付けるとは予想外です。ワタルさんは普通にのんびり仕事を探すんですよね?」
「あはは・・・なんででしょうかね?」
「成り上がりロリコン妖精ハーレム主人公になられるとこちらの仕事が増えて大変です」
「あのエルザさんは大いに誤解していると思います!けして俺はロリコンではありません」
「まぁいいでしょう・・・アトランティスを楽しんでいるようで何よりです」
「まぁ退屈はしないですね・・・死ぬ思いは何度もしましたけど・・・」
エルザさんには聞きたいことがたくさんある。精霊馬車の事、親父の事、ユキナの事などなど・・・。
「そのへんは後でお手紙でお伝えしますね。それよりも今日はワタルさんにどうしても会いたい人がいるので紹介するために来ました」
「俺に会いたい人?そんな人がいるんですか?」
「あなたのファンだそうです。」
「へぇー。誰だろ?」
「一応、一日商業ギルドマスターという事になっていますので失礼のないようにお願いします」
何だその一日警察署長みたいな制度は?
アイドルでも来ているのだろうか?
エルザさんは上司に言われて、彼氏とバカンスを楽しんでいる最中に呼び出されて仕方なくこの商業ギルドに来たそうだ。
そこまでさせる人物とは一体誰なのか?
ドンドン!バンバン!
ビクッ!
突然隣の部屋から壁を叩く音にびっくりする。
「あーもう我慢の限界のようですね。ご案内しますね」
「は、はいお願いします」
一体何者なんだ一日商業ギルドマスター・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
面白い、続きが気になるという方はいいねや感想を頂ければ嬉しいです♪
「ワ、ワタル様をお連れしました」
商業ギルド副支店長のギルさんの案内で応接室まで連れてこられた俺とウェンディ。
何故か中の人物に声をかける声が緊張している。
こんな立派な扉の応接室だ。きっと商業ギルドのトップでギルドマスターと呼ばれる人物だろう。
「久しぶりワタル・・・元気そうね」
「は?あれ?なんで?」
「・・・なんでいつも唐突に現れるのかしら?」
大きめの執務机で優雅に座っている美人。
ミステリアスクールビューティのドリュアス様がそこにいた。
様々な花の付いた緑色の長いドレスに、同じ色の目が隠れた髪。その髪にもたくさんの花が咲き乱れている。
もちろん木の幼霊もワンサカ飛んでいた。
「びっくりしたでしょ?」
「そりゃしますよ。あなたがギルドマスターなんですか?」
「うふふ・・・違うわよ。今日はお礼を言いに来たのよ」
「えっと・・・俺は何かしましたかね?」
ゆっくりと立ち上がるドリュアス様。
フッと草原の匂いが鼻を掠めた。
音もなく俺に近寄り、優しく抱きしめる。
「ノーミーを連れ出してくれてありがとう。とても感謝している」
不思議とドキドキしなかった。
人族だとか精霊だとか関係なしに感謝の思いが伝わってきたからだ。
「い、いえ・・・俺は何も・・・ノーミーはウェンディの友達だったので・・・」
「ノーミーはね・・・ウェンディと楽しそうにしているあなたに付いてきたの。ウェンディとそんな関係になったあなたのおかげ・・・」
「あの・・・どういたしまして。ノーミーは楽しそうですよ」
「うふふ・・・知ってるわ」
また、音もなく俺から離れたドリュアス様。
抱きしめられた時は、森の中で清涼な空気に包まれた気分になった。
「本当にノーミーと契約してもいいのよワタル」
「それはノーミーが決めることですので俺からはなんとも・・・」
「あらそう残念・・・ウェンディやユキナールが羨ましいわ」
「その辺にして下さいドリュアス様。また、妖精と契約してしまってはこちらが大変です」
ん?ん?ん?
後ろから聞こえた声に振り向いた俺はそこで固まった。
「それにあの方が我慢の限界です。」
「そう・・・名残惜しいけど・・・またねワタル」
フッと消えてしまったドリュアス様。
そして残った人物を改めて見る。
「狭間の世界以来ですねワタルさん」
「なぜあなたがここに・・・」
「この人族は誰なの?」
「はじめましてウェンディ。アトランティスの管理人代行のエルザと申します」
「・・・・・エルザ?」
「ウェンディ・・・この人はいつも手紙をくれるエルザさんだ」
「エ・・・ル・・・ザ・・・ヒィーーー!!!ごめんなさい!ごめんなさい!」
「あら?どうしてそんなに怯えているのかしら?いつも私の事を色々な言ってくれるのに?」
「ヒィーーー!」
「あなたのことはいつも見守って」
いますよ」
ニコッ
「あはは・・・ついに私を殺しに来たんだわ・・・さよなら・・・わ・・・た・・・る・・・」
エルザさんの意味深な微笑みがトドメとなりウェンディは気を失った。
フラフラと落ちるウェンディを両手で支える。
「やり過ぎですエルザさん。楽しんでいるでしょ?」
「あら?言っている意味がよくわかりません・・・ニコッ」
「・・・怖い・・・お、お久しぶりですエルザさん。いつも助けて頂きありがとうございます」
ウェンディやユキナはともかく、エルザさんは俺にアドバイスをくれる存在だ。
この世界の協力者のは間違いない。
「こちらこそ楽しませてもらってますよ。それにしてもミルフィーユ王家まで味方に付けるとは予想外です。ワタルさんは普通にのんびり仕事を探すんですよね?」
「あはは・・・なんででしょうかね?」
「成り上がりロリコン妖精ハーレム主人公になられるとこちらの仕事が増えて大変です」
「あのエルザさんは大いに誤解していると思います!けして俺はロリコンではありません」
「まぁいいでしょう・・・アトランティスを楽しんでいるようで何よりです」
「まぁ退屈はしないですね・・・死ぬ思いは何度もしましたけど・・・」
エルザさんには聞きたいことがたくさんある。精霊馬車の事、親父の事、ユキナの事などなど・・・。
「そのへんは後でお手紙でお伝えしますね。それよりも今日はワタルさんにどうしても会いたい人がいるので紹介するために来ました」
「俺に会いたい人?そんな人がいるんですか?」
「あなたのファンだそうです。」
「へぇー。誰だろ?」
「一応、一日商業ギルドマスターという事になっていますので失礼のないようにお願いします」
何だその一日警察署長みたいな制度は?
アイドルでも来ているのだろうか?
エルザさんは上司に言われて、彼氏とバカンスを楽しんでいる最中に呼び出されて仕方なくこの商業ギルドに来たそうだ。
そこまでさせる人物とは一体誰なのか?
ドンドン!バンバン!
ビクッ!
突然隣の部屋から壁を叩く音にびっくりする。
「あーもう我慢の限界のようですね。ご案内しますね」
「は、はいお願いします」
一体何者なんだ一日商業ギルドマスター・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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