57 / 84
第三章 悩める剣士との出会い
第48話 ロイヤルエンブレム
しおりを挟む
「あの・・・失礼かとは存じますが、白竜族のホワイト家の方で間違いないでしょうか?」
「へ?」
俺が精霊馬車の上から怪我をした騎士に話しかけると、バキバキに壊れた馬車の中から金髪の美人が出てきて、話しかけてきた。
現在、俺たちは精霊馬車を貴族馬車の形態にして、ユキナにお姫様の格好をさせている。
設定は、遠くの国のお姫様がお忍びで各国を巡っているというもの。
俺はその従者という事になっている。
しかし、シップブリッジの検問で自分から王族ですと名乗るだけでは弱いのではないかとノーミーが待ったをかけた。
「そうだな・・・確かにいきなりどこぞの王族ですって言われてすんなり検問を突破できるほど甘くないか・・・どうしよう?」
「ワタル!ワタル!閃いたわ!私は天才ね!」
「すごく不安だけど一応聞いてみるか・・・」
「家紋よ!か・も・ん!家紋をつければ問題ないわ!」
「はぁ?そんなのどうやって作る・・・あっアレか!」
〈トレーラー〉
1・快適空間(LV・2 2/10)・・・リラックス効果。体力回復、魔力回復、状態異常回復、解呪、デコレーションなどなど
トレーラーにデコレーション機能があったはずだ。
初めて精霊馬車を手に入れた時に、ウェンディがピカピカのトレーラーにして見世物小屋で客を集めればいいなんて馬鹿なことを言ったのを思い出す。
絶対に使わないと思っていたデコレーション機能で家紋を作れる事が出来るかも知れない。
早速ウィンドウを開き、デコレーションをタップする。
「装飾」という項目をタップして開くと様々な装飾ができることが分かった。
「夜露死苦」、「暴走特急」などの文字を入れる機能や「般若」や「風神雷神」などの絵を入れる事が出来るようだ。
「こんなの馬車に付けたら王族に見えないね・・・」
「そうだな・・・どこかの蛮族が攻めてきたと思われて即捕まるな」
「ワタルの武器はトゲバットだしね」
「私はこのお花の絵がいい」
ウィンドウに現れたカラフルな絵や文字を見てそれぞれの感想を述べる四人。
「あっこれはホワイト家の家紋に似ている」
ユキナが指さしたのは少しデフォルメされた白い竜に剣がデザインされた模様。
それをタップすると細かい所を編集出来るようだ。
「あの一応言っておくけど、家紋の偽造は死刑になるよ。これミルフィーユ王国の常識」
「うそ?じゃあ今やっていることは犯罪?」
「ノーミー安心して・・・私は正真正銘のホワイト家の第一王女・・・自分の家の家紋を作っているだけ」
「うーんそれなら大丈夫か・・・」
「よしっ!こんなもんか!」
ユキナに細かい所を修正してもらいなんとかホワイト家の家紋のデザインが完成した。
「「このデザインでよろしいですか?
YES or NO 」」
YESをタップする。
「「デザインする書式を選択してください
ペイント
彫刻
ホログラム
エンブレム
LED 」」
「あった!エンブレムにすれば家紋になるはずだ」
ズンッ!
ギシギシ
「うわっ!なんだ馬車が揺れたぞ!」
「とりあえず外に出て確認するわよ」
おう・・・なんということでしょう。
みんなで外に出て馬車を確認すると、馬車の両面に巨大な家紋がついているではないか。
そりゃ馬車も揺れるはずだ。
「主張が激しい王族になったわね・・・」
「白竜族のセンスが疑われると思う・・・」
「蛮族と変わらないよ」
「こりゃ駄目だろ・・・やり直しだ」
試行錯誤の末、なんとか王族の馬車に見える家紋もといエンブレムを付けることに成功した俺達。
途中、LEDにしてピカピカの光るデコトラ風にしたり、彫刻風にして反社会団体風ににして遊んでしまった。
ユキナが言うには、白竜族のエンブレムはほとんど知られてないらしく、ユキナの地元の小さな街くらいしかわからないだろうとのこと。
だったらこんなに苦労してエンブレムを作ることも無かったな。
・・・・・・・・・
そんなこんながあり、王族らしくユキナに振る舞ってもらえれば大丈夫だろうと思っていたが、ボロボロの馬車から出てきた美人に正体がバレた。
なぜだ?なぜこの人は白竜族のエンブレムを知っているんだ?
「あの・・・えっと・・・何故白竜族のホワイト家を知っているですか?」
「申し遅れました。私はミルフィーユ王国第一王女のアドレーヌ・ラインハートと申します。そのホワイト家のエンブレムは知っていますわ」
「姫様!よろしいのですか?」
「お、王女様?」
「この方たちの身分を知るのに我々が身分を隠してどうするのですザックス。」
「失礼しました。姫様のおっしゃる通りです」
なんと本物のミルフィーユ王国のお姫様だったとは・・・そりゃホワイト家のエンブレムを知ってて当然だ。
「えと・・・我々は確かに白竜族のホワイト家の者です。今、挨拶させますので少々お待ち下さい」
コンコン
「ユキ・・・ゴホン!姫様、ミルフィーユ王国のアドレーヌ姫がお見えです。ご挨拶をしていただけますか?」
「わかりました。お兄ちゃ・・・ワタル」
ガチャ
俺は精霊馬車の扉を開ける。
「ワタル手を取るのよ」
「お、おう・・・姫様ゆっくりおりましょう」
「はい」
ぎこちないやり取りでボロが出ないかヒヤヒヤする俺。逆にユキナは堂々とした様子で馬車を降りる。
「・・・ほぉーなんと美しい・・・」
「・・・まるで聖女様だ・・・」
「・・・白竜族の姫様・・・」
ユキナはその場でドレスをつまみお辞儀をする。
騎士たちは口を開けて呆けている。
「はじめましてアドレーヌ姫。私は白竜族の第一王女、ユキナール・ホワイトです。お会いできて光栄ですわ」
ニコッ!
ババッ!
ユキナのロイヤルスマイルが炸裂すると、一斉に騎士たちが膝まづいた。
他国の王族に敬意を示すのは当然だが、俺は騎士たちが本能的に動いたように感じる。
ユキナはいつの間にあんな笑顔ができるようになったんだ。初めてあった時の絶望したような顔を思い出す。
お兄ちゃんは少し誇らしくなり嬉しくなった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
面白い、続きが気になるという方はいいねや感想を頂ければ嬉しいです♪
「へ?」
俺が精霊馬車の上から怪我をした騎士に話しかけると、バキバキに壊れた馬車の中から金髪の美人が出てきて、話しかけてきた。
現在、俺たちは精霊馬車を貴族馬車の形態にして、ユキナにお姫様の格好をさせている。
設定は、遠くの国のお姫様がお忍びで各国を巡っているというもの。
俺はその従者という事になっている。
しかし、シップブリッジの検問で自分から王族ですと名乗るだけでは弱いのではないかとノーミーが待ったをかけた。
「そうだな・・・確かにいきなりどこぞの王族ですって言われてすんなり検問を突破できるほど甘くないか・・・どうしよう?」
「ワタル!ワタル!閃いたわ!私は天才ね!」
「すごく不安だけど一応聞いてみるか・・・」
「家紋よ!か・も・ん!家紋をつければ問題ないわ!」
「はぁ?そんなのどうやって作る・・・あっアレか!」
〈トレーラー〉
1・快適空間(LV・2 2/10)・・・リラックス効果。体力回復、魔力回復、状態異常回復、解呪、デコレーションなどなど
トレーラーにデコレーション機能があったはずだ。
初めて精霊馬車を手に入れた時に、ウェンディがピカピカのトレーラーにして見世物小屋で客を集めればいいなんて馬鹿なことを言ったのを思い出す。
絶対に使わないと思っていたデコレーション機能で家紋を作れる事が出来るかも知れない。
早速ウィンドウを開き、デコレーションをタップする。
「装飾」という項目をタップして開くと様々な装飾ができることが分かった。
「夜露死苦」、「暴走特急」などの文字を入れる機能や「般若」や「風神雷神」などの絵を入れる事が出来るようだ。
「こんなの馬車に付けたら王族に見えないね・・・」
「そうだな・・・どこかの蛮族が攻めてきたと思われて即捕まるな」
「ワタルの武器はトゲバットだしね」
「私はこのお花の絵がいい」
ウィンドウに現れたカラフルな絵や文字を見てそれぞれの感想を述べる四人。
「あっこれはホワイト家の家紋に似ている」
ユキナが指さしたのは少しデフォルメされた白い竜に剣がデザインされた模様。
それをタップすると細かい所を編集出来るようだ。
「あの一応言っておくけど、家紋の偽造は死刑になるよ。これミルフィーユ王国の常識」
「うそ?じゃあ今やっていることは犯罪?」
「ノーミー安心して・・・私は正真正銘のホワイト家の第一王女・・・自分の家の家紋を作っているだけ」
「うーんそれなら大丈夫か・・・」
「よしっ!こんなもんか!」
ユキナに細かい所を修正してもらいなんとかホワイト家の家紋のデザインが完成した。
「「このデザインでよろしいですか?
YES or NO 」」
YESをタップする。
「「デザインする書式を選択してください
ペイント
彫刻
ホログラム
エンブレム
LED 」」
「あった!エンブレムにすれば家紋になるはずだ」
ズンッ!
ギシギシ
「うわっ!なんだ馬車が揺れたぞ!」
「とりあえず外に出て確認するわよ」
おう・・・なんということでしょう。
みんなで外に出て馬車を確認すると、馬車の両面に巨大な家紋がついているではないか。
そりゃ馬車も揺れるはずだ。
「主張が激しい王族になったわね・・・」
「白竜族のセンスが疑われると思う・・・」
「蛮族と変わらないよ」
「こりゃ駄目だろ・・・やり直しだ」
試行錯誤の末、なんとか王族の馬車に見える家紋もといエンブレムを付けることに成功した俺達。
途中、LEDにしてピカピカの光るデコトラ風にしたり、彫刻風にして反社会団体風ににして遊んでしまった。
ユキナが言うには、白竜族のエンブレムはほとんど知られてないらしく、ユキナの地元の小さな街くらいしかわからないだろうとのこと。
だったらこんなに苦労してエンブレムを作ることも無かったな。
・・・・・・・・・
そんなこんながあり、王族らしくユキナに振る舞ってもらえれば大丈夫だろうと思っていたが、ボロボロの馬車から出てきた美人に正体がバレた。
なぜだ?なぜこの人は白竜族のエンブレムを知っているんだ?
「あの・・・えっと・・・何故白竜族のホワイト家を知っているですか?」
「申し遅れました。私はミルフィーユ王国第一王女のアドレーヌ・ラインハートと申します。そのホワイト家のエンブレムは知っていますわ」
「姫様!よろしいのですか?」
「お、王女様?」
「この方たちの身分を知るのに我々が身分を隠してどうするのですザックス。」
「失礼しました。姫様のおっしゃる通りです」
なんと本物のミルフィーユ王国のお姫様だったとは・・・そりゃホワイト家のエンブレムを知ってて当然だ。
「えと・・・我々は確かに白竜族のホワイト家の者です。今、挨拶させますので少々お待ち下さい」
コンコン
「ユキ・・・ゴホン!姫様、ミルフィーユ王国のアドレーヌ姫がお見えです。ご挨拶をしていただけますか?」
「わかりました。お兄ちゃ・・・ワタル」
ガチャ
俺は精霊馬車の扉を開ける。
「ワタル手を取るのよ」
「お、おう・・・姫様ゆっくりおりましょう」
「はい」
ぎこちないやり取りでボロが出ないかヒヤヒヤする俺。逆にユキナは堂々とした様子で馬車を降りる。
「・・・ほぉーなんと美しい・・・」
「・・・まるで聖女様だ・・・」
「・・・白竜族の姫様・・・」
ユキナはその場でドレスをつまみお辞儀をする。
騎士たちは口を開けて呆けている。
「はじめましてアドレーヌ姫。私は白竜族の第一王女、ユキナール・ホワイトです。お会いできて光栄ですわ」
ニコッ!
ババッ!
ユキナのロイヤルスマイルが炸裂すると、一斉に騎士たちが膝まづいた。
他国の王族に敬意を示すのは当然だが、俺は騎士たちが本能的に動いたように感じる。
ユキナはいつの間にあんな笑顔ができるようになったんだ。初めてあった時の絶望したような顔を思い出す。
お兄ちゃんは少し誇らしくなり嬉しくなった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
面白い、続きが気になるという方はいいねや感想を頂ければ嬉しいです♪
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説


幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。


平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる