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第三章 悩める剣士との出会い
第45話 ロイヤルパワー大作戦
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「結局ここまでノープランで来てしまったな」
「そうね・・・どうするのワタル?」
「私も人族の国を離れて長いからよくわからないわ」
現在、俺とユキナ、ウェンディとノーミーは精霊馬車の中で話し合っている。
トカリ村から出発する際、ユキナがリリに三角巾を渡した事で宿屋の主人キマリさんとその息子に聖女認定されてしまった。
ユキナに跪く二人をなんとか説得し、聖女様ではないこと、それと人には言わないでくれとお願いした。
そんな事があり、改めてトカリ村を出発しようとした時、キマリさんからこの先の街の情報を聞くことに。
「なんでも妖精を狙って誘拐する怪しい集団がいるから気をつけるように神殿経由で通達があったらしいんだよ。だからこの先のシップブリッジも入国審査が厳しくなるかもしれないね」
「そうですか・・・参ったな」
「まぁ身分証があれば問題ないさ」
「・・・そうですね」
俺たちは身分証もなければ金もありません。
そんな事はキマリさんには言えるはずもなく、出発することにした。
「またねリリ!必ず会いに来るからーー!」
「バイバーイ!ユキナお姉ちゃーん!」
太陽が大分傾いたトカリ村でリリが見えなくなるまで手を振るユキナが印象的だった。
それから約二日が経った頃。
俺たち一行は、ザリオン街道とミルフィーユ街道の分岐点に来た。
このまままっすぐザリオン街道を行くとシップブリッジの街に繋がり、ミルフィーユ街道を行くとこの国の街王都ミルフィーユへ行くことができる。
ベアフの話によれば、この分岐点から小さな森を抜けて約一日ほどでシップブリッジへ行くことができるそうだ。
「さて、どうしたものかな?」
「予定を変更する選択肢は無いわね」
「そうだな・・・王都のほうがもっと入国は厳しくなってるだろうからな」
身分証もお金もない俺たちは、間違いなく検問で止められるだろう。
トカリ村で公的機関があれば身分証を作ることができたが、あいにく過疎の村では無理だった。
「私が姿を現せばいいんじゃない?一応ザリオンと契約していたし、なんか伝説になってるみたいよ」
「いやいや・・・それこそ駄目だろ。ノーミーが現れた事がわかれば騒ぎになるし、王都から人がたくさん来てすごく目立つぞ」
「そうね~多分ユキナはキマリが言っていた怪しい集団が追っているから目立つのはまずいわね」
なんとか目立たず、シップブリッジへ入ることができないものか話し合うが中々結論が出ない。
「ふふーん。私に考えがある」
みんなの話し合いには加わらず、人間の姿で御者台から足をプラプラさせていたユキナがドヤ顔で提案した。
町娘の格好がよほどお気に入りなのか、旅の間ずっと着ている。
ユキナは子供だか、たまにみんながビックリするような事をするので不安になる。
「なんか不安だけど・・・一応言ってみなさいユキナ」
「むぅ~ウェンディお姉ちゃんは失礼」
「なんか考えがあるのかユキナ?」
「ふふーん!!!名付けて「ロイヤルパワー大作戦」」
ババーン!
腕を組み、胸を張りながら作戦名を宣言したユキナ。
ロイヤルパワー大作戦?
なんだそりゃ?
「私が王族の格好をして、貴族馬車に乗れば絶対止められない!完璧」
「お、おう・・・なんという力技・・・」
「ユキナ・・・それ私が姿を現すのと変わらなくない?」
「ま、まぁ詳しく聞こうじゃないか?」
「ロイヤルパワー大作戦」作戦概要
1・まず現在乗っている馬車の荷台を貴族馬車に変形させる。
2・そこに王族衣装を着たユキナが乗り込む。
3・従者に扮した俺が王族がお忍びで来た事を検問で答える
4・無事検問を突破したあとは、馬車と馬を収納して作戦完了
「これで完璧なのです!どうお兄ちゃん!」
「えっとつまり、王族に偽装して検問を突破する作戦でいいのかな?」
「お兄ちゃんは失礼。私は正真正銘の王族」
「はっ!そうだったわね。ユキナはお姫様だった」
今更のように気づいたウェンディ。俺もあの王族衣装なら騙せると思う。不法入国には違いないが・・・
ノーミーが姿を現しても、俺たちが王族に扮しても目立つのは変わらない。
しかし、ノーミーはミルフィーユ王国での影響力が大きすぎる。それにノーミーの姿を知っている者は少ないだろう。
なにせずっと引きこもっていたひき妖精だから・・・
「うーん。引きこもりのノーミーが姿を現すより現実的か・・・」
「あらあらウェンディ。誰が引きこもりですって?なかなか素直になれないどこぞの風の妖精よりマシだと思うわよ」
「なんですって!!」
「まぁどこぞの風の妖精さんはお子様だから分からないか~」
「いいわノーミー!風の妖精が木の妖精より優れている事を証明してあげるわ!」
「キァー怖い怖い!たすけてワタルー!お子様が暴れているわー」
「許さないわノーミー!」
ギァギァ!
ワーワー!
「二人とも何をやってんだか・・・」
ますます賑やかになった俺達のパーティ。
こんな事ででロイヤルパワー大作戦が成功するか不安を募らせるであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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「そうね・・・どうするのワタル?」
「私も人族の国を離れて長いからよくわからないわ」
現在、俺とユキナ、ウェンディとノーミーは精霊馬車の中で話し合っている。
トカリ村から出発する際、ユキナがリリに三角巾を渡した事で宿屋の主人キマリさんとその息子に聖女認定されてしまった。
ユキナに跪く二人をなんとか説得し、聖女様ではないこと、それと人には言わないでくれとお願いした。
そんな事があり、改めてトカリ村を出発しようとした時、キマリさんからこの先の街の情報を聞くことに。
「なんでも妖精を狙って誘拐する怪しい集団がいるから気をつけるように神殿経由で通達があったらしいんだよ。だからこの先のシップブリッジも入国審査が厳しくなるかもしれないね」
「そうですか・・・参ったな」
「まぁ身分証があれば問題ないさ」
「・・・そうですね」
俺たちは身分証もなければ金もありません。
そんな事はキマリさんには言えるはずもなく、出発することにした。
「またねリリ!必ず会いに来るからーー!」
「バイバーイ!ユキナお姉ちゃーん!」
太陽が大分傾いたトカリ村でリリが見えなくなるまで手を振るユキナが印象的だった。
それから約二日が経った頃。
俺たち一行は、ザリオン街道とミルフィーユ街道の分岐点に来た。
このまままっすぐザリオン街道を行くとシップブリッジの街に繋がり、ミルフィーユ街道を行くとこの国の街王都ミルフィーユへ行くことができる。
ベアフの話によれば、この分岐点から小さな森を抜けて約一日ほどでシップブリッジへ行くことができるそうだ。
「さて、どうしたものかな?」
「予定を変更する選択肢は無いわね」
「そうだな・・・王都のほうがもっと入国は厳しくなってるだろうからな」
身分証もお金もない俺たちは、間違いなく検問で止められるだろう。
トカリ村で公的機関があれば身分証を作ることができたが、あいにく過疎の村では無理だった。
「私が姿を現せばいいんじゃない?一応ザリオンと契約していたし、なんか伝説になってるみたいよ」
「いやいや・・・それこそ駄目だろ。ノーミーが現れた事がわかれば騒ぎになるし、王都から人がたくさん来てすごく目立つぞ」
「そうね~多分ユキナはキマリが言っていた怪しい集団が追っているから目立つのはまずいわね」
なんとか目立たず、シップブリッジへ入ることができないものか話し合うが中々結論が出ない。
「ふふーん。私に考えがある」
みんなの話し合いには加わらず、人間の姿で御者台から足をプラプラさせていたユキナがドヤ顔で提案した。
町娘の格好がよほどお気に入りなのか、旅の間ずっと着ている。
ユキナは子供だか、たまにみんながビックリするような事をするので不安になる。
「なんか不安だけど・・・一応言ってみなさいユキナ」
「むぅ~ウェンディお姉ちゃんは失礼」
「なんか考えがあるのかユキナ?」
「ふふーん!!!名付けて「ロイヤルパワー大作戦」」
ババーン!
腕を組み、胸を張りながら作戦名を宣言したユキナ。
ロイヤルパワー大作戦?
なんだそりゃ?
「私が王族の格好をして、貴族馬車に乗れば絶対止められない!完璧」
「お、おう・・・なんという力技・・・」
「ユキナ・・・それ私が姿を現すのと変わらなくない?」
「ま、まぁ詳しく聞こうじゃないか?」
「ロイヤルパワー大作戦」作戦概要
1・まず現在乗っている馬車の荷台を貴族馬車に変形させる。
2・そこに王族衣装を着たユキナが乗り込む。
3・従者に扮した俺が王族がお忍びで来た事を検問で答える
4・無事検問を突破したあとは、馬車と馬を収納して作戦完了
「これで完璧なのです!どうお兄ちゃん!」
「えっとつまり、王族に偽装して検問を突破する作戦でいいのかな?」
「お兄ちゃんは失礼。私は正真正銘の王族」
「はっ!そうだったわね。ユキナはお姫様だった」
今更のように気づいたウェンディ。俺もあの王族衣装なら騙せると思う。不法入国には違いないが・・・
ノーミーが姿を現しても、俺たちが王族に扮しても目立つのは変わらない。
しかし、ノーミーはミルフィーユ王国での影響力が大きすぎる。それにノーミーの姿を知っている者は少ないだろう。
なにせずっと引きこもっていたひき妖精だから・・・
「うーん。引きこもりのノーミーが姿を現すより現実的か・・・」
「あらあらウェンディ。誰が引きこもりですって?なかなか素直になれないどこぞの風の妖精よりマシだと思うわよ」
「なんですって!!」
「まぁどこぞの風の妖精さんはお子様だから分からないか~」
「いいわノーミー!風の妖精が木の妖精より優れている事を証明してあげるわ!」
「キァー怖い怖い!たすけてワタルー!お子様が暴れているわー」
「許さないわノーミー!」
ギァギァ!
ワーワー!
「二人とも何をやってんだか・・・」
ますます賑やかになった俺達のパーティ。
こんな事ででロイヤルパワー大作戦が成功するか不安を募らせるであった。
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