異世界街道爆走中〜転生したのでやりたい仕事を探します。

yuimao

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第二章 小さな白竜との出会い

閑話 ユキナのかくれんぼ②

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私が初めてあの人に...ドミニカ様に出会ったのはちょうど5歳になったばかりの頃だった。
私の今は亡き毋に連れられ後宮に御挨拶に行ったのだ。

母上とは違う紫色の髪と瞳で、煌びやか...いや、その派手過ぎる装いに苦手な人だと感じてしまったのは今でも変わらない。

「お初にお目にかかります。レオン・クラン・カスティリアと申します。以後、お見知り置きを。」

そうしてまだ、少し慣れない不格好な礼をした。
そうするとドミニカ様は目を優しそうに細め、口をにこやかにした。

「これはこれは、レオン様。ご丁寧にどうもありがとうございます。
私はドミニカですわ。どうぞ、第二の母だと思って下さいませ。」

見た目よりも遥かに優しそうな物腰に私は少し警戒心を解いてしまっていた。
ああ、この方は見た目よりも穏やかな人なのではと。
だが、その勝手な想像は直ぐに打ち砕かれる。

「ああ、そうだわ。アリナ様もいらしゃっていたわね。あまりにも質素な装いだから気付かなかったわ。
ごめんなさいね...?」

そういい扇で隠す口元は見なくても分かるほど歪んでいるろうと感じた。


母上はその物言いに不機嫌を示すように眉を寄せたが、直ぐに戻す。

「いいえ…お気になさらないでくださいまし。今日はこの子の挨拶で来たのですから。」

そう言って、軽く流していた。
そんな安い喧嘩を受けるほど頭も弱くないのだ。さっさと挨拶を済ませ、帰るつもりでいた。

「…そうですわね。あぁ、そうだわ!せっかくなのですからお茶会なんていかがかしら?私、もっとよくレオン様とお話したいのです。」

ドミニカ様はこれはいい案だとばかりに先に決め、近くのメイドに支持をした。

母上はあまりに変えない顔を少ししかめ、忌々しそうにドミニカ様を見つめていた。

断ってもよかったのだが、あまりこの人に悪い印象を与えるべきではないと判断し参加することになった。

母上はとても嫌そうだったがさっさと終わらせて帰るわよと目が語っていた。

席につき、お茶会が始まる。
時間のほとんどをドミニカ様がお話になり、ご自分の得意なこと、好きなこと、趣味や何故かお父様についても多く語っていた。

ドミニカ様のお生まれは隣国のアスクエート帝国で第3皇女だったそうだ。
アスクエート帝国は海に面しており、貿易が盛んだった。それに目をつけた父上…国王陛下はアスクエート帝国とカスティリア王国に協定を結んだ。

陸地での貿易行路でカスティリア王国の領土を渡る代わりに、アスクエート帝国の海路の貿易航路を確保した。そんな協定だ。
そして、その協定をより強固にするためにドミニカ様との政略結婚が決まったのだ。

だが、お父様は元々結婚だなんだという話は
苦手で、母上との結婚も国王という地位に収まるためだけのものだったらしい。
そして、今回も国の実益のためだ。

結婚だなんて名ばかりで、ドミニカ様を早々に後宮に放り込み放置しているというのが今の現状だ。

まぁ、お父様が物凄くドミニカ様を嫌っているというのもあるのだが…


ふと、耳を済ませると女の子の泣き声が聞こえる。

「あら、ラベンナが泣いていますわ。私に会いたくなったのかしら…?」

そう思うのであれば、早く会いに行けば良いものを。

「私のラベンナは、それはそれは可愛いのですわ。私に似たのかしら…ふふ。この前もね…」


そうして、また話が始まる。
私は最早遠い目をして、これはいつ終わるのだろうか。と感じていた。

ふと、母上を見ると顔色が少し悪く感じる。
近くに控えていたメイドを呼び、支えられるように立ちながらも母上はこちらを見やった。

「ごめんなさい…少し気分が優れないみたいで……そろそろおいとましましょうか。」

はい、と立ち上がろうとすると私の手をドミニカ様が掴んだ。

「お待ちになって。レオン様、まだ私とお話しましょう?私、まだまだ話し足りないのですわ。アリナ様、ご気分が優れないのでしたら直ぐに医務室に行かれた方が良いのではなくて?」

私はその一瞬、この人が何を言ったのか分からなかった。

何を言っているんだこの人は?
母上は正妃、貴方よりも地位は上だ。その方にその言いざまはなにか?

頭に血が登り始め、掴まれた腕を振りほどこうとした。が、その前に母上が弱々しい声で話し出す。

「……何を言って………。うっ…」

益々、顔色が悪くなっていく。そんな母上が心配になり、気づいたら声を出していた。

「母上、私は大丈夫です。ドミニカ様とお茶会を続けますので、早く王宮にお戻りください。私は、大丈夫ですので。」

そう強く見つめ、母上に伝える。
母上は酷く眉間にシワを寄せていたが、暫くして頷き、メイドに支えられるようにして王宮に戻って行った。







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