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第二章 小さな白竜との出会い
第17話 聖剣エクスカリバー
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収納ボックスを手に入れてから数日。
俺達二人は、食べる物を探しながら街道を目指して歩き回った。
ウェンディはすぐに街道に着くような事を言っていたけど、妖精基準なのであてにできない。
「な~んでキノコばっかり出てくるだよー」
「仕方ないでしょ。この辺はキノコエリアなの!」
「もうキノコは食べたくない。早く抜けよう!」
次々と出てくるオバケキノコを風の刃で倒して収納ボックスに放り込む。
キノコはもううんざりだ。夢に出てきそう。
ほとんどのオバケキノコはウェンディが倒してくれたが、俺も何匹か倒すことができた。
「俺もだんだん魔法の精度が上がってきた気がする」
三発に一発は当たるようになったのだ。
「何言ってるの?オバケキノコはすごく弱いの。他の魔獣が来たらすぐにやられるわよ」
なかなかウェンディ先生は厳しい。
・・・・・・・・・
「・・・やっと違うやつが来たと思ったら」
「あれはニョッキよ」
「たけのこかよ・・・」
やっとのことでキノコエリアから抜け出した俺達の前に現れたのは、ニョッキと呼ばれるたけのこの魔獣だった。
大きさはオバケキノコと変わらない。たけのこに目と口が付いており、二足歩行で歩いている。
「弱そうに見えるがあれは凶暴なのか?」
「旅人が地中にいるニョッキの上で寝てしまうと、朝起きたら串刺しになってしまうわ」
「何それ怖い」
ニョッキは十分凶悪だった。
「輪切り!」
ザシュ!
真っ二つになるニョッキ。
「フッ雑魚だったな。大体地面に直接寝なければ問題ない」
「そんな自身ありげに言われても・・・ニョッキはメッチャザコだわ」
なかなか厳しいウェンディ先生だ。
「なぁこの森はキノコとたけのこが戦争してるのか?」
「はぁ?何言ってるの?そんなわけ無いでしょ」
「そ、そうか。地球では長年に渡りキノコとたけのこが争っていてな」
「・・・地球はへんなのところね」
あれはどっちが勝ったんだっけ?
その後、何匹かのニョッキを倒しつつ森の中を進む。
時折、地面に生えている草を見てみると、「薬草 食用」、「毒消し草 食用」など表示された。
これは後々使えるかもしれないと思い摘み取っては収納ボックスに入れていく。
そろそろ日が傾き、暗くなってきたので今日の野営の準備を始める。
「ワタルは何か武器になるような物を探したほうがいいと思う」
「なんで?魔法の精度はそれなりに上がってきたぞ」
「全然だめよ。幸い今までは雑魚しかいなかったから良かったけど、数が多かったり、凶暴な魔獣が出てきたらやられちゃうわ」
確かにウェンディの言う通りだ。俺の魔法では戦力にならないかも。
「確かに言う通りだが、肝心の武器はどうするんだ?そのへんの木でも折ってみるのか?」
「そうね~・・・木か~・・・木ね~・・・」
ウェンディはクルクル回りながら考え込む。その仕草が可愛いと思ってしまった。
「そうだわ!」
「なにか思いついたのか?」
「あなたは精霊に好かれる魔力を持っているんだもの幼霊にお願いすればいいのよ」
「おいおい大丈夫なのか?」
大量の水や火柱を上げた俺だぞ。うまくいくとは思えない。
「まぁやってみないと分からないわ」
自身満々に答えるウェンディに不安がつのる。
「一応試してみるけど・・・」
「1から作ろうとしたら絶対に失敗するわ。だから、良さそうな木を選んで変化させるのよ」
「わ、わかった」
そんなはっきり言われたら落ち込むぞ。
武器になりそうな太さの木を選び準備する。
「それじゃ木の幼霊よ集まれ」
いつものポーズで木の幼霊が集まってくるイメージをする。
俺の周りには緑色の幼霊が集合し始めた。いつ見てもきれいな光景だ。
「えっと・・・どんな武器がいいかな?」
「そうね~。人族は剣や槍が一般的じゃないかしら」
「ん~剣や槍か~」
しかし、現代日本において剣や槍を持ったことがある人はどのくらいいるだろうか。ゲームでお馴染みの剣や槍でも実物を知らなければあやふやなイメージしかできない。
ニョキニョキ
「変わったぞ」
「・・・そうね」
そこに現れたのは、先が尖った長細い棒だ。しかも、持ち手が付いている。
「これじゃ刺すのか切るのか分からないわね」
本日何度目かのウェンディさんの呆れ顔が見れました。
「んんっ!まぁ失敗は誰にでもある」
「イメージが難しいならワタルが思う強そうな武器を思い浮かべたらいいじゃない?」
「強そうな武器か・・・どうしたものかな~」
そうなると実際持ったことがあるもので武器になりそうな物がいいかな。
地球で強いといえば、格闘技だろう。でもあれはほとんどが素手かグローブをつけている。
そう言えば、この前見たヤンキーアニメの主人公は強かったな。確かバットのようなものを持っていたぞ。
ええいわからん。こんな時は気合だ!
「いでよ!聖剣エクスカリバー!」
ニョキニョキ
「・・・それがワタルが思う強い武器なのね」
「聖剣エクスカリバー?」
俺の手に現れたのは、先端部分にトゲトゲが付いた木製バットだった。
「釘バットじゃねーか」
「・・・聖剣エスクカリ棒ね。なかなかイカツイ武器ね・・・プッ」
「・・・ウェンディ笑っただろ?」
「笑ってま・・・プッ」
「ちくしょう」
ウェンディは涙を堪えて笑っていた。
こうして俺は聖剣エスクカリ棒を手に入れたのであった。
俺達二人は、食べる物を探しながら街道を目指して歩き回った。
ウェンディはすぐに街道に着くような事を言っていたけど、妖精基準なのであてにできない。
「な~んでキノコばっかり出てくるだよー」
「仕方ないでしょ。この辺はキノコエリアなの!」
「もうキノコは食べたくない。早く抜けよう!」
次々と出てくるオバケキノコを風の刃で倒して収納ボックスに放り込む。
キノコはもううんざりだ。夢に出てきそう。
ほとんどのオバケキノコはウェンディが倒してくれたが、俺も何匹か倒すことができた。
「俺もだんだん魔法の精度が上がってきた気がする」
三発に一発は当たるようになったのだ。
「何言ってるの?オバケキノコはすごく弱いの。他の魔獣が来たらすぐにやられるわよ」
なかなかウェンディ先生は厳しい。
・・・・・・・・・
「・・・やっと違うやつが来たと思ったら」
「あれはニョッキよ」
「たけのこかよ・・・」
やっとのことでキノコエリアから抜け出した俺達の前に現れたのは、ニョッキと呼ばれるたけのこの魔獣だった。
大きさはオバケキノコと変わらない。たけのこに目と口が付いており、二足歩行で歩いている。
「弱そうに見えるがあれは凶暴なのか?」
「旅人が地中にいるニョッキの上で寝てしまうと、朝起きたら串刺しになってしまうわ」
「何それ怖い」
ニョッキは十分凶悪だった。
「輪切り!」
ザシュ!
真っ二つになるニョッキ。
「フッ雑魚だったな。大体地面に直接寝なければ問題ない」
「そんな自身ありげに言われても・・・ニョッキはメッチャザコだわ」
なかなか厳しいウェンディ先生だ。
「なぁこの森はキノコとたけのこが戦争してるのか?」
「はぁ?何言ってるの?そんなわけ無いでしょ」
「そ、そうか。地球では長年に渡りキノコとたけのこが争っていてな」
「・・・地球はへんなのところね」
あれはどっちが勝ったんだっけ?
その後、何匹かのニョッキを倒しつつ森の中を進む。
時折、地面に生えている草を見てみると、「薬草 食用」、「毒消し草 食用」など表示された。
これは後々使えるかもしれないと思い摘み取っては収納ボックスに入れていく。
そろそろ日が傾き、暗くなってきたので今日の野営の準備を始める。
「ワタルは何か武器になるような物を探したほうがいいと思う」
「なんで?魔法の精度はそれなりに上がってきたぞ」
「全然だめよ。幸い今までは雑魚しかいなかったから良かったけど、数が多かったり、凶暴な魔獣が出てきたらやられちゃうわ」
確かにウェンディの言う通りだ。俺の魔法では戦力にならないかも。
「確かに言う通りだが、肝心の武器はどうするんだ?そのへんの木でも折ってみるのか?」
「そうね~・・・木か~・・・木ね~・・・」
ウェンディはクルクル回りながら考え込む。その仕草が可愛いと思ってしまった。
「そうだわ!」
「なにか思いついたのか?」
「あなたは精霊に好かれる魔力を持っているんだもの幼霊にお願いすればいいのよ」
「おいおい大丈夫なのか?」
大量の水や火柱を上げた俺だぞ。うまくいくとは思えない。
「まぁやってみないと分からないわ」
自身満々に答えるウェンディに不安がつのる。
「一応試してみるけど・・・」
「1から作ろうとしたら絶対に失敗するわ。だから、良さそうな木を選んで変化させるのよ」
「わ、わかった」
そんなはっきり言われたら落ち込むぞ。
武器になりそうな太さの木を選び準備する。
「それじゃ木の幼霊よ集まれ」
いつものポーズで木の幼霊が集まってくるイメージをする。
俺の周りには緑色の幼霊が集合し始めた。いつ見てもきれいな光景だ。
「えっと・・・どんな武器がいいかな?」
「そうね~。人族は剣や槍が一般的じゃないかしら」
「ん~剣や槍か~」
しかし、現代日本において剣や槍を持ったことがある人はどのくらいいるだろうか。ゲームでお馴染みの剣や槍でも実物を知らなければあやふやなイメージしかできない。
ニョキニョキ
「変わったぞ」
「・・・そうね」
そこに現れたのは、先が尖った長細い棒だ。しかも、持ち手が付いている。
「これじゃ刺すのか切るのか分からないわね」
本日何度目かのウェンディさんの呆れ顔が見れました。
「んんっ!まぁ失敗は誰にでもある」
「イメージが難しいならワタルが思う強そうな武器を思い浮かべたらいいじゃない?」
「強そうな武器か・・・どうしたものかな~」
そうなると実際持ったことがあるもので武器になりそうな物がいいかな。
地球で強いといえば、格闘技だろう。でもあれはほとんどが素手かグローブをつけている。
そう言えば、この前見たヤンキーアニメの主人公は強かったな。確かバットのようなものを持っていたぞ。
ええいわからん。こんな時は気合だ!
「いでよ!聖剣エクスカリバー!」
ニョキニョキ
「・・・それがワタルが思う強い武器なのね」
「聖剣エクスカリバー?」
俺の手に現れたのは、先端部分にトゲトゲが付いた木製バットだった。
「釘バットじゃねーか」
「・・・聖剣エスクカリ棒ね。なかなかイカツイ武器ね・・・プッ」
「・・・ウェンディ笑っただろ?」
「笑ってま・・・プッ」
「ちくしょう」
ウェンディは涙を堪えて笑っていた。
こうして俺は聖剣エスクカリ棒を手に入れたのであった。
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